62.ナイロン6−10の合成

[目的]高分子化合物であるナイロン6−10を合成し、その性質を調べる。
[薬品]セバシン酸ジクロリド(塩化セバコイル) ヘキサメチレンジアミン
水酸化ナトリウム(粒及び溶液) ヘキサン
[器具]ビーカー ガラス棒 ピンセット
[操作]
1)@ヘキサン+セバシン酸ジクロリド、Aヘキサメチレンジアミン+純水+水酸化ナトリウム
2)Aの溶液に@の溶液をガラス棒を伝わらせて静かに加える。
3)境界面にできた膜をピンセットで引き上げ、試験管に巻きつける。
 1)
2)
3)
[留意点・工夫点]
ヘキサメチレンジアミンは1回の使用量が少量なので25g瓶で購入し使い切る方がよい。 
ヘキサメチレンジアミンは瓶の中で細かく砕いておく。湯浴で溶かして使用(融点42℃)してもよいが、加熱し過ぎると分解するので気をつける。
ヘキサメチレンジアミンは取り扱いにくいので、実験前に取り分けておく。
ナイロン原料の試薬は、低温保存の方が長持ちする。
ヘキサンのかわりにベンゼンなどを用いてもよい。
セバシン酸ジクロリドのかわりに、アジピン酸ジクロリドを使うとナイロン6−6ができる。また、テレフタル酸ジクロリドを使うとポリペプチドが合成される。(この場合、ヘキサンの代わりに1.2ジクロロエタンを使用する。)
混合の順序はどちらにしても高分子は生成するが、比重の大きい溶液に軽いものを注ぎ込んだ方がきれいに膜ができる。
Aの溶液に、フェノールフタレインを加えると境界面がわかりやすい。
混合させる際にトールビーカーを用いると、膜の表面積が小さくなるので細長く巻き取ることができる。
ナイロンを巻き取るには、太目の試験管やラップの芯などが使用できる。
出来上がったナイロンは、強塩基の液がついているので水洗し、アセトンなどで乾燥させるとよい。
この実験にはスチロール製容器は使わない。