54.芳香族カルボン酸

[目的]安息香酸とサリチル酸の性質を調べ、サリチル酸メチルとアセチルサリチル酸を合成する。
[薬品・材料]
 安息香酸 サリチル酸 メタノール 無水酢酸 濃硫酸 水酸化ナトリウム
炭酸水素ナトリウム 希塩酸 塩化鉄(V) 万能pH試験紙 沸騰石
[器具]温度計 還流用ガラス管 ロート
[操作]
1)安息香酸の性質
@ 安息香酸に水を加えて溶解性を調べ、万能pH試験紙を用いて液性を調べる。
A 水酸化ナトリウム水溶液、希塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液との反応を観察し、酸性の強さを調べる。
2)サリチル酸の性質
@ サリチル酸に水を加えて溶解性を調べる。
A 1の上澄み液に塩化鉄水溶液を加えて呈色反応(紫色)の有無を調べる。
B 1の残りの溶液に炭酸水素ナトリウムを加えて、その変化を調べる。
a.サリチル酸メチルの合成
 
b.アセチルサリチル酸の合成
 
 
   
[留意点・工夫点]
安息香酸のナトリウム塩は、防腐剤として用いられる。
合成されたサリチル酸メチルは消炎塗布薬、アセチルサリチル酸は解熱鎮痛剤として用いられる。
メタノールは沸点が低く(65℃)強熱すると蒸発してしまうので、細いガラス管を還流冷却管として試験管につけて用いる。
サリチル酸メチルを合成するとき、突沸しないように穏やかに加熱する。また内容物が白濁したら加熱を止める。
アセチルサリチル酸を合成するとき、冷却が不十分だと、ろ液中にアセチルサリチル酸の結晶が析出する。その場合は、ろ液を元の試験管にもどし、よく振り混ぜてから再度ろ過する。
アセチルサリチル酸の生成は、呈色反応の有無により確認する。(サリチル酸が残っていると呈色反応を示す。)
アセチルサリチル酸は外的条件や、試料の分量比などでうまく合成されないときがある。