46. 炭化水素の製法と性質

[目的]メタン、エチレン、アセチレンの製法及び性質と脂肪族炭化水素のヘキサンが光を当てると、置換反応を起こすなどの化学的性質を調べる。
[薬品]無水酢酸ナトリウム 水酸化ナトリウム又は水酸化カルシウム エタノール 濃硫酸
カーバイド 硫酸酸性過マンガン酸カリウム溶液 沸騰石
[器具]気体誘導管付きゴム栓 ゴム栓 水槽 金網 アルミ箔
        
[操作]
a.メタンの発生
 メタンを水上置換で試験管4本に捕集し、栓をする。
 1本目色やにおいを観察する。
 2本目臭素水を数滴加えて、ゴム栓をし、よく振り混ぜ色の変化をみる。
 3本目硫酸酸性過マンガン酸カリウム溶液を数滴加えてゴム栓をしてよく振り混ぜ色の変化をみる。(酸化剤と反応)
 4本目マッチで点火し、燃焼の様子を調べる。
b.エチレンの発生
1)エタノールに濃硫酸を少しずつゆっくりと加えてよく混ぜた後、沸騰石を加える。
2)気体誘導管を取り付け、弱火で穏やかに加熱し、エチレンを水上置換で試験管4本に捕集し、栓をする。
メタンと同様に変化を観察する。
 
c.アセチレンの発生
1)カーバイドをアルミ箔に包んで水上置換で採集する。
2)メタンと同様に変化を観察する。
 
 
d.ヘキサンの性質
ヘキサンを燃焼してみる。
1本目はヘキサンに水2mlを加える。
2本目は飽和臭素水を10倍に薄めた臭素水を加えて振り混ぜ、変化を見る。
次にこの試験管に約10分間光を当てながら振り混ぜ、変化を見る。
3本目は少量の硫酸酸性過マンガン酸カリウム溶液を加え、よく振り変化を見る。
 
[留意点・工夫点]
飽和炭化水素アルカン(一般式CnH2n+2メタン系炭化水素)としてヘキサン、不飽和炭化水素アルキン(一般式CnH2n-2アセチレン系炭化水素)としてアセチレンを取り上げ、それぞれの化学的性質を比べることもできる。
エタノールの中に硫酸を入れる際は、駒込ピペットで一滴ずつ加える。この時、発熱するので、水の入ったビーカーの中で冷やしながら行うとよい。
ヘキサンは光を当てると、置換反応が起こり臭素の色が消えることを確かめる。
酸性にする過マンガン酸カリウムの硫酸は少量でよい。(<参照>「酸化還元反応」)
アセチレンの発生はふたまた試験管でも、簡単に出来る。
気体発生させる試験管は乾燥したものを使用する。
捕集が終わったら、ガラス管の先を水槽から出し、しばらく加熱した後ガスを切ること。(水の逆流でガラスが割れないようにするため)
捕集した試験管の最初の1本は空気が混じっているので、使用しない。
水酸化ナトリウム加熱後の試験管は再使用できない。
マッチを近づける時は横からする。
燃焼させたガスの試験管は口が熱くなるので注意する。
大量のアセチレンを取る場合は、ポリ瓶のふたに穴を二つ開け、容器の口の所に鉛を巻きおもりとし、ポリ瓶に水、ふたに炭化カルシウムを一つ入れ、水槽に逆さまに、おくとガスが発生し下におくと止まるので、便利である。
<参考>
 カーバイト(炭化カルシウム)の特異臭は副生成物のためで、硫酸酸性硫酸銅溶液を通すことで取り除ける。