40.磁束密度

[目的]電流てんびんを使って、磁場の中で流れる電流にはたらく力の大きさと向きを調べ、さらにコイル内における磁束密度の大きさを測定する。
[準備]電磁力測定器(空心ソレノイドコイル・電流てんびん) エナメル線 ものさし
蓄電池または直流電源 すべり抵抗器 電流計 スイッチ
[操作]
 
1)図のように配線する。
2)電流てんびんのBC部の長さを測る。
3)空心ソレノイドコイルを水平な机の上に置き、リード線のついたクリップをはさんで、電流てんびんをのせ、電流てんびんが水平状態になるよう調整する。
4)電流てんびんにエナメル線(おもり)をのせ、すべり抵抗器R2で調節しながら、電流てんびんが水平状態になる時の電流の大きさ I2 (電流計A2)を測定する。
[留意点・工夫点]
電流てんびんの支点になる接点部(A、D)は、接触不良を防ぐため、サンドペーパーなどでみがいておく。
電流てんびんの力を受ける部分(BC部分)は、まわりの銅メッキの部分に幅があるので銅メッキ部分の中心間の距離を測る。
鉄製スタンドで支えたものさしを電流てんびんのEF部の近くに置き、てんびんの水平を調べる指標とする。
すべり抵抗器R2は、電流てんびんが水平状態になるよう微調整するために必要である。しかし、コイルに流す電流は一定であるから、電圧を変えられる直流電源装置を使用すれば、R1はなくてもよい。
電流てんびんの電源を入れて、てんびんのEF部が上がることを確かめる。下がるときには、配線をチェックする。
エナメル線は、1〜2cmの長さのものを数種類準備し、直示天秤(電子天秤) で質量を量って、おもりにする。ピンセットを使用するとよい。
EF部の中央に小さなおもりを下げてもよい。たこ糸でもよい。
<参考>
  磁場の中に垂直に置いた導線には力がはたらく。導線にはたらく力は、導線内を動く電子が受ける力の総和と考えられる。この力をローレンツ力という。磁束密度をB(単位は〔Wb/m2〕またはテスラ〔T〕)としたとき、図のように、てんびんに I2 〔A〕の電流を流すとBC部分(長さ〔m〕)を流れる電流は、コイルに流れた電流 I1 により生じた磁場により、フレミングの左手の法則に従って下向きの力F〔N〕を受ける。
    F=I2
EF部にエナメル線(質量m〔kg〕)をのせて、てんびんをもとの位置につりあわせることと、てんびん板の支点からBC部、EF部までの距離が等しいことから、
    I2B=mg
である。これより、磁束密度を求めることができる。
     磁束密度〔Wb/m2〕または〔T〕
 (m:〔kg〕、g:重力加速度、I2:〔A〕、:〔m〕)