29.光の波長測定

[目的]色々な装置を用いて光の波長 λ を測定する。
a.回折格子による波長の測定
 [準備]回折格子  スペクトル光源装置  ものさし  メジャー
[操作]
光源Pから発せられる波長 λ の光が、格子定数 d (例d=2.00×10-6mは1mmにつき500本の溝)の回折格子にあたって回折するときa'、b'….のところに虚像の明線が観察される。回折格子からものさしまでの水平距離をL、光源と虚像との距離をxとし、回折格子から光源と虚像とを見込む角をθとする。
  dsinθ=mλ(m=0,1,2,3・・・)・・・@
  ・・・A
  @Aより   d・=mλ
 [留意点・工夫点]
回折格子の溝(縦線)が、ものさしの目盛りに対して平行になるように水銀ランプのすぐ上に固定する。
回折格子をのぞき、左右のm=1の虚像がm=0の虚像から等距離になるように調節する。
水銀ランプは、有害な紫外線を発するので必ず付属のカバーをかぶせて使用する。さらにカバーの窓にスライドガラス2枚を重ねたものをつけ、これを通して光を取り出す。青紫色、黄緑色、黄赤色の線スペクトルが観測されるので3つの波長を同時に測定できる。
手作り回折格子
グレーチング(ガラスの回折格子)の上にアセトンを数滴落としOHP用の透明シートを押し当てる。アセトンによりOHPシートを溶かし回折格子の溝をつけることができる。シートは乾くとゆがんでくるので、スライドマウントにはさんで固定する。または、画用紙上に0.5mm間隔で太さ0.5mmの線を多数引きこれを白黒フィルムで写真に撮りネガを回折格子として用いる方法もある。ガラス製は高価なので自作のものや市販のシートも使用できる。

b.複スリットによる波長の測定(ヤングの実験)
 [準備]複スリット  電球(透明)  目盛り板
 [操作]
1)目盛り板の何センチかの間に見える干渉縞の数をかぞえ、明線の間隔を求める。・・Δx
2)複スリットから目盛り板までの距離を測定する。・・・L
3)スリットの間隔を測定する。・・・d
Δx=L・λ /d  λ=d・Δx/L
 [留意点・工夫点]
電球のフィラメントを図のように置き、点光源にする。
複スリット使用の場合は、干渉縞の間隔が狭いので目盛り板の何センチかの間に見える干渉縞の数をかぞえ、明線の間隔を求めると測りやすい。
赤、青色のセロハン紙をスリットに貼り付けて光の色を変えたり、光がもれないように覆いをする。光源が、熱を持つので発火しないよう気をつける。
スリットにのぞき窓つけると目盛りが読みやすい。
複スリットの製作
墨汁に洗濯のりを少し加えて練ったものをスライドガラスにむら無く塗り乾かす。安全カミソリを2枚重ねて線を引く。このとき間隔が0.1〜0.2mm程度であればよい。間隔が、狭く平行にあいたかどうかOHPで確認できる。さらに中央部の墨を削り目盛り板を見るための窓を開けると使いやすい。長く保存するときはスライドガラスを上に重ねてプラスティックテープを巻いておく。マジックインキの原液をたらしたものローソクなどのすす、すずりですった墨の二度塗りでも作製できる。スリットの間隔dは、カミソリ1枚の厚さと考える。なお、「ヤングの実験用スリット」として市販もされている。

c.2枚のガラス板による波長の測定
 [準備]スペクトル光源装置  干渉板
[操作]
1)2枚のガラス板を重ね一端に紙をはさみくさび形の薄層を作る。
2)干渉縞の数をかかぞえて暗線間の距離Δxを測定し波長λを求める。
λ=2・Δx・D/L
[留意点・工夫点]
ガラス板の間に髪の毛など薄いものをはさんでもよい。
アクリル板でも平面であれば使用できる。

d.ニュートンリングによる波長の測定
 [準備]ニュートンリング  スペクトル光源装置  ものさし
[操作]
暗環の半径 r を測定し波長 λ を求める。
  (m=0,1,2,3・・)
(R=レンズ球面の曲率半径)
 [留意点・工夫点]
ニュートンリングが、できるだけ正しい円形になるようにねじを調節する。
ガラス板にのる透明の5cm位のものさしを作ると半径を測りやすい。
[全般的な留意点・工夫点]
電球(透明)の光を赤、青、緑のセロハンに通すと単色光に近くなる。
発光ダイオード(Light Emitting Diode)を使って光源の製作
プラスチックの部分は切り取って400〜800番位のサンドペーパーで仕上げる。発光素子の正面にアルミテープ(フロッピーのプロテクトシールなど)に1mm位の穴を開けて張り付ける。LEDは、2V程度で使用するものであるが、乾電池(UM−1)2本に直接接続しても差支えない。(高輝度タイプのものの場合は、発熱することもあるので抵抗を入れること)
レーザー光源装置を使用する場合は、失明の恐れがあるのでレーザー光を直視しない。スモークを作って見ると光の道すじが見える。(演劇用フォグマシンが便利)
レーザー光源装置のかわりによく使われるレーザーポインターは、干渉実験には使用できないものがあるので必ず確認してから購入する。
カミソリや薄い紙の厚さを測る時は、マイクロメーターを使用する。(「目盛りの読み方とデータ処理」参照)
物体の表面に小さな凸凹が規則正しく並んでいるもの(CD、ハンカチなどの布)でも光の干渉が見られる。

<参考>
光の干渉を見る
2枚のスライドガラスが密着した時に見える虹色
しゃぼん玉
水たまりに落ちた油の膜