兵庫県立歴史博物館 館長 藪田 貫 |
博物館は楽しい! 〜「ひょうごミュージアムフェア」の魅力〜 2020年3月15日 |
新型コロナウイルスの影響で全国の学校が閉鎖となり、さらに博物館も閉館となった状況下で、なにを書こうか・・・と正直、迷ったのですが、こんな時こそ、ウイルスもインフルエンザも心配なかった1月の楽しい思い出を書こうかと思います。それは、当館が、兵庫県博物館協会(略称して兵博協)所属の博物館・美術館・科学館・水族館などの協力を得て実施しているミュージアムフェアのことです。
正しくは「ひょうごミュージアムフェア」といい、今年の1月18−19日に開催されました。会場を姫路イオンモールリバーシティとし、主催が当館で、兵博協が協力する形になって3回目の開催でした。それ以前には神戸市内で開催されたこともあり、かつて館長ブログで触れたこともありますが、最大のネックは、会場費の負担でした。ところが姫路イオンモールリバーシティを会場とすることで、その悩みは解消したのですから、日本最大手の商業施設との連携は、当館主催の「ひょうごミュージアムフェア」を盤石なものにしたといっていいでしょう。まさにイオンさんのお蔭です。
その背景には、日本人の購買の主力がインターネットに代わり、アクセスの便利な場所であっても買い物客が減少しているという状況があると思います。先月たまたま、イオンの岡田会長のインタービュー記事を読みましたが、「これからお客さんは買い物のために来るのでなく、何かの機会で来たついでに買い物をする」という形に変わるだろうと分析しておられました。その「何かの機会」に「ひょうごミュージアムフェア」がなっているのではないか。2日間で約9000人の参加者を集めたミュージアムフェアを通してのわたしの率直な感想です。
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もうひとつ、このフェアが、世の中に博物館という「楽しい」施設がある、ということを無意識に知ってもらう機会になっているのではないか、という思いもあります。はばタンなどのゆるキャラにも会えるイベントなのですが、そこで行われるワークショップは、それぞれの博物館固有のもので、博物館でなければ用意できないものです。
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ふだんから自前の博物館でやっていなければ、出前できない工夫あふれる作品のオンパレードなのです。
わたしは毎回、初日に開会の挨拶に参上していますが、本当によく考えられた作品が並んでいると感心します。
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子どもたちが無心で楽しんでいるのを見ていると、このお祭りが、彼らの博物館との初めての出会いになっているのではないかと考えます。「博物館は楽しい」と感じてくれることで、大きくなっても、どこにいっても博物館や美術館に足を向ける大人になってほしい・・・「ひょうごミュージアムフェア」の盛況を見ながらいつも思うのです。