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兵庫県立歴史博物館 館長 藪田 貫 |
2020年度「もよおし案内」外国語版 ―海外の若い友人たちの協力− 2020年1月15日 |
全国の博物館には、その館の成り立ちや施設、コレクションなどを紹介したパンフレットや小冊子がありますが、同時に、その年度の展示スケジュールをリーフレットなどで紹介しているところがほとんどです。それぞれにカラー刷りで、紙型を持ちやすくするなど工夫がされていて、訪れた博物館では必ずもらうことにしています。当館ではA4三つ折りの形で、「博物館のご案内」と「れきはく もよおし案内」の二種類を発刊していますが、現在、2020年度版の作成が佳境に入っています。
そこで年頭のブログのトピックは、「もよおし案内」の外国語版に協力してもらっている人たちの紹介です。本人たちの了解を得た上で、紹介します。いずれもわたしの若い友人たちですが、かれこれ5年の間、「もよおし案内」の外国語版が出ているのは、すべて彼らのお蔭です。
英語版は、当初、スイス・チューリッヒ大学教授ハンス・トムセンさんにお願いしていた(アメリカ留学中に知り合った東洋美術史専門家)のですが、最近は、ロンドン大学SOAS(アジアアフリカ学部)で博士号取得し、2018年度からオランダのライデン大学に就職したドリーン・ミューラーさんにお任せしています。日本美術史の研究者ですが、そのテーマが災害の美術史―災害を描いた美術作品の研究―というユニークなもので、江戸の社会史を専門としているわたしと接点が生まれたのです。パートナーは名古屋生まれの日本人男性ですが、おしどり夫妻で、いまは彼が主夫をしています。
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中国語版は、現在、アモイ大学准教授を務める王海さんのお世話になっています。司馬遼太郎の研究者としてはおそらく、中国初ではないかと思いますが、関大時代、わたしが大阪都市遺産研究センターを主宰していた時に研究員として在籍し、その後、関大で博士号を取得し、アモイ大学に就職しました。四川省の出身で海を知らなかった彼が、関大に留学して最初に行った調査が天草であったため、そこではじめて海を見たというウブな若者です。気さくな人柄と見事な日本語の能力で、地元の人々に一番、気に入られたのは彼でした。
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韓国語版では、韓国人のイ・ヒョジンさんにお世話になっています。大邱出身で、嶺南大学を経て関西大学に留学し、「京城帝国大学の韓国儒教研究」のテーマで博士号を取得しました。2016年に同名の著書を出版し、その後、ドイツのハイデルベルヒ大学で任期付の職を得たという才媛です。ハングルはもちろん、日本語・英語を操り、パートナーがスウェーデン人の男性であるため、スウェーデン語も学ぶという語学の達人です。こちらも仲睦まじいカップルです。今年の9月からイタリアのベネチア大学に就職し、単身、ベネチアで頑張っていますが、欧米で広がる韓国学研究の一翼を担っていく人材です。
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三人とも30歳代というから、羨ましいこと限りないのですが、毎年、そんな若い友人に、夫婦揃って会えるのは嬉しい限りです。日頃のお礼を申し述べるとともに、それぞれの国で頑張ってくれるようエールを送りたいと思います。