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兵庫県立歴史博物館 館長 藪田 貫 |
海洋堂とリカちゃん〜50年の歳月〜 2018年8月15日 |
特別展「ふしぎジオラマミュージアム」が開会中ですが、夏休みとも相まって家族連れで賑わっています。今年はことのほか暑いので、ひととき、博物館で涼をとるという方もおられるようです。
さて展覧会の度に、来館者が書かれたアンケートが整理されて、わたしの手許に届くのですが、いつも気にしているのは「何回目の来館か」の欄。複数回に混じって、「はじめて」という回答が目立ちます。その傾向は、前回の企画展「線路はつづく」にも見られましたが、それは、展示のテーマが、歴史博物館に人々を引き寄せているということでしょう。常設展にはない、企画展・特別展の魅力といえるでしょうが、その分、展示を担当する学芸員の感性の磨きどころです。くわえて今回の「ふしぎジオラマミュージアム」には、海洋堂の名声が一役買っているのは明らかです。
海洋堂は東京オリンピックが開催された昭和39年(1964)、大阪の守口で産声を上げましたので、開業54年。創立者である宮脇修氏の著書『創るモノは夜空にきらめく星の数ほど無限にある』(2003年、講談社)には、起業から食玩販売にいたるまでの起伏に満ちた軌跡が綴られていますが、ほとんどが、わたしの知らない50年余です。まことに世間は広い!
しかし歴史家として、この文化を知らないわけにはいかないので、特別展「立体妖怪図鑑」が開かれていた平成28年(2016)の夏、高知県四万十町の海洋堂ホビー館に赴きました。川沿いの廃校になった小学校の体育館は、屋内丸ごと海洋堂のフィギュアーの世界で、圧倒的な迫力。
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わたしの知らない世界は、それだけではありません。昨年、生誕50年を迎えたというリカちゃん人形もそのひとつ。こちらは千葉県の醤油工場の一画で生まれたとかで、海洋堂の歳月とほぼ重なります。そしてこれまたフィギュアー。妻がリカちゃんファンで、50周年を記念して愛らしい一体を買って持ったことから、急速に関心が湧いたのですが、妻がリカちゃん連れで来館したことで、海洋堂のジオラマとリカちゃんのツーショットが実現しました。
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写真撮影OKという今回の特別展コードのお蔭で実現したものですが、この50年余におけるフィギュアー文化の凄さを知る機会となりました。