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兵庫県立歴史博物館 館長 藪田 貫
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アンニョヒカセヨ(気をつけてお帰りください)~韓国晋州の博物館~ 2016年12月15日 |
現職大統領の弾劾・職務停止という異常な事態の続く隣国韓国ですが、10月はじめ、慶尚南道の古都晋州(チンジュ)に行く機会がありました。韓半島の地図で言えば釜山特別市の西側に位置し、朴大統領の地盤です。パク・ウネ大統領は晋州と並ぶ都市大邱(テグ)の生まれで、近くの亀陽(クミ)市には、父で元大統領朴正煕(パク・チョンヒ)の生家が残されています。
出張の用向きは晋州市内にある国立慶尚大学校で特別講義をすることですが、10月はじめに来るようにとの特別な要請でした。なぜこの時期かと言えば、晋州が誇る南江(ナムガン)流灯祭りを見せたいから、というのが招待してくれた慶尚大学校張在彦教授の計らいです。講義の終わった夜に連れられて出かけると、市内を流れる南江とそれを見下ろす晋州城一帯が、昼間とは打って変わってランタンの明かりで充ち満ちており、大勢の観客の歓声と溜息を誘います。さらに現地でもらったパンフレットには日本語で、「晋州の南江に流灯を浮かべる流灯遊びは、壬申・丁酉の乱(文禄・慶長の役)の晋州城戦闘から始まった《と書かれています。たしかに城内の展示には、灯りの点った人形で攻防戦が再現されていました(写真1)。華やかで美しいだけでなく、わたしたち日本人にも縁の深い祭典だから見せたいと思われたのでしょう。ちなみに晋州はビビンバで有吊ですが、この韓国流混ぜご飯も、この戦闘に起源をもつそうです。
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張教授はさらにわたしを城内の国立晋州博物館と、新都心の中に新設された「土地と住まいの博物館《に案内してくれ、両館の館長と会う機会がありました。とくに「土地と住まいの博物館《では、南北朝鮮の融和事業として建設されたケソン団地開発に伴う高句麗時代の住居跡が復元してあり驚きました。またオンドルの仕組みをデジタルイラストで見せるなど、デジタル時代の博物館は日韓共通だとの印象を受けました。
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