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兵庫県立歴史博物館 館長 藪田 貫
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「もの」の向こう側に「ひと」を感じる 2016年9月15日 |
「立体妖怪図鑑」展で賑わっていた8月、博物館地階体験ルームでは夏休み恒例の事業が行われていました。その1は教員セミナー。「博物館活用法―先生のための1日―」と名付け、「小・中学校児童生徒が校外学習などで歴史博物館をどのように利用できるかについて、教員に体験しもらうことをねらい」とした催しです。午前中には博物館の見学ツアー、昼食後には「博学連携の工夫」と題したわたしの講演、その後、小・中学校お二人の先生の実践発表があるという内容に、定員を超える20名先生方の参加がありました。
小学校社会の教科書編纂の経験を踏まえたわたしの講演では、3年に身近かな「町とくらし」から学び始め、5年には「わたしたちの国土とくらし」、そして6年の「日本の歴史」へとひろがって行くカリキュラムに合わせて博物館が活用される可能性を探りたいのでご協力を、と呼びかけました。
午後の実践発表では、姫路城をテーマに博物館を見事に活用した市立城北小学校長谷川剛先生の報告に聞き入りました。実践のモットーは、「もの」の向こう側に「ひと」を感じる、というものですが、「もの」を扱う博物館の一人として強く印象に残る言葉でした(写真1)。
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その2は、将来の学芸員を育てる博物館実習。5日間の日程に大学生18名が参加し、朝9時から夕方5時半までビッシリ、基礎実習を受けました。最終日は日曜日でワークショップに参加し、来館者調査に携わってくれましたが、終了後の感想では、それが一番、印象深かったようです。来館者調査の結果をめぐって、ワイワイと議論する姿には頼もしさを感じました(写真2)。
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というわけで、展示室という<表>でなく、博物館の<裏>で進められている事業を紹介しました。