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兵庫県立歴史博物館 館長 藪田 貫
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「立体妖怪図鑑」展と「江戸の灯り・明治の洋燈」展 2016年8月15日 |
7月16日にオープンした「立体妖怪図鑑」展は、8月9日、入館者1万人を数えました。昼過ぎ、家族連れで来られた小学2年生の女の子に1万人記念として、特別展の図録を差し上げましたが、夏休みに入り、家族連れで来られているのが入館者の増えている要因です。
今回の展示は、妖怪の立体に力点が置かれており、各所で開かれている妖怪展と際だった違いを見せていますが、その立体妖怪の展示品に、作家京極夏彦氏のコレクションがあります。そこで展示担当者からの依頼で、7月23日(土)、京極さんに姫路まで来ていただき、講演会の開催となりました。同席して驚いたのは、200名余の参加者中に、30歳代から40歳代の女性がたいへん多いことでした。背景を知りたくなって聞いてみると、陰陽師京極堂を主人公とした『姑獲鳥の夏』以降のシリーズ作品の愛読者だ、ということでした。昨今妖怪は、ポケモンを初めとして子どもたちに人気があるだけでなく、京極作品を通じてもファンを得ているようです。
そんな女性ファンをもつ京極さんに館長室で色紙にサインを頼んだところ、見事な筆致で書き上げていただきました。しかも「図鑑」を「図館」にもじるという機知も加えて(写真1)。
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一方、歴史工房では、「あかりの鹿島資料館」の全面協力を得て、「江戸の灯り・明治の洋燈」展が開催され、燭台・ランプなどのコレクションが展示されています(写真2)。現在では、お化けが出るような暗闇の恐怖感が薄れてしまっていますが、人々の灯りへの憧れは、魑魅魍魎の住む暗闇と背中合わせであっただと思います。
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この機会に「立体妖怪図鑑」展と「江戸の灯り・明治の洋燈」展の両方を楽しんでもらえれば幸いです。