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兵庫県立歴史博物館 館長 藪田 貫
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旧五カ国の個性と魅力−但馬の巻− 2016年3月15日 |
旧国名で現在の都道府県を呼ぶことはあまりないことだと思われますが、兵庫県ではしばしば、「旧五カ国」という言葉が使われます。それは、摂津・播磨・丹波・但馬・淡路を指しますが、江戸時代までの日本六〇余州の五つを言い、明治維新後に成立した兵庫県がその五カ国を範囲にしているという事情がそこにはあります。といっても丸ごと入っているのは播磨・但馬・淡路で、摂津は大阪府と、丹波は京都府とで二分されています。
兵庫県立歴史博物館に入るとロビーのフロアー一面に、空中から見た県域図が広がっており(写真1)、来館者の注意を引いていますが、そこに旧五カ国が収められています。この五ヵ国という言葉は、兵庫県の地域の個性を表現するものとして、井戸知事もよく使われるもので、今日の県政を推進する上でも重要な枠組みと言うことができそうです。
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兵庫県立歴史博物館長として着任して以降、美しい姫路城の見える立地点を大事にしながらも、遠く丹波や但馬、淡路の博物館に出かけてみたいものだと思っていましたが、昨年11月には「ひょうご歴史文化フォーラム」で出石に出かけることとなり、但馬に足を踏み入れました。さらに新年早々、出石焼展が本館で開催されることとなり、2月20日(土)には、ロビーで、出石焼の絵付け、麦藁細工、杞柳細工のワークショップが開催され、但馬の生み出した伝統工芸に関心を持つ人々が多数、集まり、雨の中、歓声の絶えない一日となりました(写真2)。
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