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兵庫県立歴史博物館 館長 藪田 貫
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こどもたちの博物館〜「むかし」が生きる空間〜 2015年12月15日 |
江戸時代を中心に歴史研究をしている関係上、旧家にお邪魔する機会がしばしばあります。猪名川町で、藁葺きの屋根の葺き替え現場に立ち会ったことを以前、ブログに書きましたが、最近も、加東市上三草で武家屋敷、大阪府八尾市で庄屋屋敷、堺市で鉄砲鍛冶屋敷を訪問し、奥の座敷に通され、ご当主と話すという貴重な機会を得ました(写真1)。
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いずれも修理の手が入っていますが、本体は築300年という代物。土間のたたきは踏み固められ、床は黒光りし、床之間には書画が掛けられ、凝った欄間、書家・文人の手になる扁額が見えるという豪華さです。市町村の文化財担当者と同時に、大学院生も数名、同席したのですが、昨今の畳はもちろん座布団もないマンション暮らしに慣れた彼女らにとっては、またとない昔の暮らし体験です。
そんな昔の暮らし体験を楽しめる場が、当館にもあります。正面から入って右手にある「みんなの家」で、「こどもを中心に歴史とふれあう空間」。兵庫県内の民家を模した施設の左手の座敷へは上がり下り自由。右手座敷は十二単衣や鎧・兜の着付け体験ルーム。どちらも畳敷。内庭にはコマ回しなどのむかしの玩具が置かれ、自由に操って遊ぶことができますが、なかでも人気は置物の馬レッキー君です(写真2)。
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右手から踏み台を使って乗ることができるので、子どもはもちろん大人も乗馬に挑戦します。
とくに小学生がクラスぐるみで来館した日には、一日中、「みんなの家」に歓声が上がっています。子どもたちは学校に帰って感想文を書き、後日、館に届けてくれます。「今風」のパソコンではなく「昔風」の手書きで(写真3)。
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