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兵庫県立歴史博物館 館長 藪田 貫
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ベルギーの大学で姫路の話をする 2015年11月15日 |
1週間ほど前に、出張先ベルギーから帰国しました。パリに立ち寄り、エアーフランス便で帰ったこともあり、13日のテロ事件には絶句。枯れ葉が舞い、温かな秋の日を浴びる美しい光景が、爆発音で切り刻まれたかと思うといたたまれない気持ちです。もし1週間遅い日程あれば、大惨事を現地で見聞きしていたかもしれません。深い哀悼の意を捧げたいと思います。
今回の出張は、来年150年を迎える日本とベルギーの友好関係を祝って企画された国際シンポジウムへの出席が主でした。主催したのは4月まで在籍していた関西大学日本・EU研究センターで、開催地はベルギーのルーヴェン・カトリック大学。同センターの特別顧問を勤めている関係から、お鉢が回ってきました。
ルーヴェンは、ブリュッセルから鉄道で30分の所にある古都です。市内にある修道院ベギンホフは、世界遺産に指定されています。大学の創設は1425年、ヨーロッパでも有数の歴史を誇る大学です。とりわけ有名なのは、第1次世界大戦時にドイツ軍に焼かれ、その後、アメリカ・日本などの支援で建てられた図書館です。広場から見上げる擬洋風の図書館の尖塔には、教会になくてはならない楽器カリオンが据え付けられ、定時には、美しい音色を町中に響かせます(写真1)。カトリックの色濃い世界にいることが実感されます。
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国際シンポは人文学部棟の最上階で開催され、日本とベルギー双方から報告がありました。幕末に日本とベルギーが国交を結んで以降の歴史の中からのトピックを取り上げた報告があり、わたしは「地方都市姫路における日本・ベルギー関係史」と題して、第2次世界大戦後のアメリカ占領軍期における姫路を舞台とするカトリック宣教と教育・文化交流について報告しました(写真2)。
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世界遺産姫路城の周辺に、ベルギー国王が訪問するという大きな出来事が少し前にあったことに学生諸君は驚いて聞いていました。