![]() |
兵庫県立歴史博物館 館長 藪田 貫
|
写真の力〜「姫路今むかしU」から「北前船」へ〜 2015年9月15日 |
8月30日に会期を終えた「姫路今むかしpartU」は、地元姫路の人々に大きな感動を与えたようです。会期中、何度かギャラリーに足を運びましたが、いつも誰かが熱心に展示を見ておられました。出口で声をかけたご婦人二人連れとはしばし、話し込んだのですが、「じっくりと話しながらみていて、昼食のことを忘れていました」と真面目な反応。「これまでの展示とは滞在時間がちがいますかね」と誘うと、「自分たちの見ていた風景ですからね、懐かしくて」。
熱い反応は、展示写真プレゼントにも現れました。事業企画課の集計によると100枚の写真に1336通の応募があり、ひとりも応募者がなかったのは1点のみ。99点にはすべて複数の応募があったのですから、いかに関心が高かったかが分かります。もっとも希望者が殺到したのは「昭和修理中の姫路城」で72人、ついで「姫路駅前のロータリー」で58名。激戦のなか抽選に当たられた方には、大事にしてほしいと思います。
応募用紙にはコメントが付けられていたのですが、「子どもの頃一度だけ乗った」「若い頃待ち合わせをしていた」「子どもを3人産みました」「出身校です」など、ご自分の経験が多いなかで、「電車が大好きな祖父のために応募した」「母が勤務していた」「父の実家付近」など、家族の思い出を語ったものも少なくありませんでした。100枚の写真が往事の風景だけでなく、家族をも思い出すきっかけになったのだと知り、嬉しくなりました。
また二人だけの応募でしたが、「写真の枯松は重厚な感じが伝わり感動しました」というコメントには、写真の<力>が語られています。
というわけで、次の展示「北前船」の紹介を兼ねて、わたしの撮った写真を一枚、添付します。詳しくは来月の「館長室へようこそ」で。
|