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兵庫県立歴史博物館 館長 藪田 貫
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特別展「災害と歴史遺産―被災文化財等レスキューの20年―」閉幕 2015年3月15日 |
11日朝の新聞・テレビでは、東日本大震災とその後の復興が大きく取り上げられていました。日々忘れていくなかで、改めて、大災害の生々しさが蘇ってきます。
2010年3月11日の午後2時46分のその時、じつは、わたしは日本にいませんでした。というよりも地上にいませんでした。台湾に向かう飛行機に乗っていました。桃園国際飛行場に降り立ち、出迎えてくれた現地の人から「大丈夫だったか?」と聞かれ、当初、その意味が分からなかったのです。日本で地震があったと言われ、空港内のテレビで映し出される地震と津波の様子を見ることで、やっと納得。その後、東京電力第一発電所原子炉のメルトダウンが報じられた時には、異国の地で、背筋が寒くなる印象を持ちました。
その後、日本に帰国し、感覚の時間差は消えていきましたが、被害の状況は、報じられる度に、拡大の一途を辿ったのは言うまでもありません。それから4年という歳月が経ったということになります。
この4年間の間に実際にあったことで、新聞やテレビが力を入れて報じてこなかったのが、今回の展示「災害と歴史遺産」で取り上げられた文化財レスキューだったのではないでしょうか?まず人命救助、ついで復興という段階を経て、人々の意識が文化財に向かったという瞬間をとらえての展示は、ある意味、いいタイミングであったと思います。
最終日の15日午後、熱心に見学される方が多数、おられましたが、わたしの注目したのは、展示コーナーの最後に張られた感想文です。七夕の短冊よろしく書き込まれたシールは100枚を超え、一枚一枚に思わず引き込まれました。その中からいくつかを引用します。
大勢の人々のご苦労がよく分かりました。記憶の継承の大切さを認識しました。
忘れてはいけないと思いました。Thank you for all the efforts
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