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兵庫県立歴史博物館 館長 藪田 貫
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学生と京都を歩く 2015年3月1日 |
春近し 美しさます 姫路城
――最近、詠んだ俳句ですが、通勤の車中から見える野梅が、白・紅と目立つようになりました。心も浮き立ちます。
昨年4月に館長となり、関西大学文学部教授と二足の草鞋を履いておりましたが、いよいよ3月末で定年退職となります。博物館へは週二日の出勤と言え、大学に週四日ほど出ており、残る日は一日。その日に講演や調査、文化財関係の会議などが入ると、一週間休みなしという事態を招くことがしばしばで、3月末まで身体が持つかと不安に思った時は、一再ならずありました。博物館スタッフの配慮とワイフの協力を得て、なんとかここまで辿り着いた、というのが正直な感想です。
そんなゴールの見えだした2月末、卒業予定のゼミ生10名と京都を歩きました。大阪は何回か歩いたので、卒業記念は京都にしようと提案、実現した次第です。四回生といえども、それほど京都を歩いていないのです、今時の学生は。
四条大橋の上で待ち合わせ、まずは七条の三十三間堂へ。1001体の観音菩薩や国宝の風神雷神像をそれぞれに見学。その存在感に圧倒されます。ついで向かいの京都国立博物館へ。国立博物館と大学が提携するキャンパスミュージアムという制度ができており、所属する大学がそのメンバーならば、学生証を提示すれば無料で入館できます。昨年に竣工なった平成知新館では陶磁器・考古遺物・絵画などの名品が並び、若冲の作品を久しぶりに見ました。その後はバスに乗って一路北上し、「おめん」で京都うどんを賞味し、学生の希望である鹿苑院銀閣へ。金閣には行ったことはあるが、銀閣は初めてという学生の多いこと。折しも春節の長期休暇中で、バスの中も銀閣の中も、中国語が飛び交っています。静かな銀閣はどこかに行ってしまったようです。
四条寺町での打ち上げ前に入ったのが熊谷鳩居堂。扉を開けると、お香の匂いが身体を包みます。店内には折しも紙製の雛人形が展示されていたので、衝動的に購入してしまいました。家に帰って、仕舞い込んであった雛人形を勢揃いさせると、四セットもあることが判明し、ワイフからは小言が。三月は誕生月なので、つい雛人形に目が行ってしまったようです。
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