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兵庫県立歴史博物館 館長 藪田 貫
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ベルギーと姫路(1) 2014年10月1日 |
館長就任以来、半年が経ちました。カンチョウと呼ばれるのにも、18畳位ある広い館長室の背の高い椅子にも、新幹線での通勤にも、かなり慣れました。
そこで先月の後半、館の仕事をやり繰りしてもらい、海外に出かけました。EAJRS、日本語にすると欧州日本関係資料専門家会議という国際学会の年次大会に出席したのですが、一昨年はベルリン、昨年はパリで開かれ、今年の開催地はベルギーのルーヴェン大学。この大学には、神戸・淡路大震災のあった1995年に交換教授として訪問して以降、たびたび訪れています。今回は、2011年以来3年ぶりの訪問。大会テーマは、「史料の保全・修復・デジタル化」。日本からは国文学資料館・国際日本文化研究所・東京大学史料編纂所などからの参加もあり、欧米の参加者とともに議論に加わりました。
そのベルギーにはシャルルロワという姫路市の姉妹都市があり、隣の市立美術館は、ベルギー絵画の展示館として有名です。さらに歴史博物館自身も、日本ヨーロッパ年に当たる1989年秋、ベルギーの首都ブリュッセルで展覧会「日本の仏教美術」を開催し、鶴林寺の聖観音(国宝)などが展示されたことがあります。いわばベルギーと兵庫県・姫路市との間には、浅からぬ縁があるのですが、その理由はどこにあるのか気になり調べました。
姫路市によれば、シャルルロワ市と姫路市の姉妹都市提携は1965年(昭和40)に結ばれています。機縁となったのは、前年64年1月のボードゥアン国王夫妻の来日と姫路来訪でした。驚いたことにこの時、国王夫妻は淳心・賢明の二つの学校を訪問しているのです(両校のホームペイジ参照)。
淳心・賢明といえば、姫路駅から博物館へのバス通勤の途上、本町筋の右手で目に入ってくる学校です。ともに中高一貫の私立学校で男子は淳心、女子が啓明。詰め襟とセーラー服の伝統的な制服も懐かしく、通る度に、なぜこんな城跡に宗教系の学校があるのか、ズーッと気になっていた学校です。