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兵庫県立歴史博物館 館長 藪田 貫
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子どもたちのミュージアム 2014年8月15日 |
8月15日正午、熱戦の繰り広げられる甲子園では黙祷が捧げられます。墓地や慰霊碑でなく、日本を代表する野球場で、ユニフォーム姿の選手と観客が一斉に、サイレントともに黙祷を捧げるシーンは、いつ見ていても訴えかけるものがあります。
そんな甲子園の熱戦をよそに博物館では、夏休み中ということで、普段と違い、家族連れの来館が目立っています。しかし、それは本館レキハクだけではありません。140近い県下の博物館・美術館・動物園などが属する兵庫県博物協会ではこの夏、「さあ!ワクワクしに行こう!夏休み大作戦」「この夏、子どもたちのミュージアムに大変身」という標語の下に、子どもたちの来館をあの手この手で歓迎しています。
そうすると当然、展示だけでは、子どもたちを満足させられません。そこで登場するのが、ワークショップや物作り体験コーナーです。夏休み中のレキハクは、そんな企画が目白押しです。 7月27日(日)には、歴はく倶楽部主催の「自動車をつくって遊ぼう」が開催され(1日2回、1回に20名)、ロビーの一郭は、紙とゴムの自動車のレース場と化しました。主催した歴はく倶楽部は、レキハク友の会の有志によるもので、8月24日(日)には、「万華鏡をつくろう」が控えています。
一方、8月3日(日)には、「こどもの科学」展のワークショップとして「水中キャッチャー(浮沈子)をつくろう」が開催され、地下のワークショップルームは、親子連れで賑わいました。持参するのはペットボトルと魚の形をした醤油入れ。あとは学芸員の指導で、満水したペットボトルの中で、フックを付けられ色を塗った醤油入れが、ボトルを押すだけで下がる下がる・・・底に入れた輪付きのビーズ玉をフックで捕まえれば、まさにゲームセンターのUFOキャッチャーとなります。下がるのはアルキメデスの原理という説明を聞くのは親だけ。子どもたちは、一刻も早く仕上げたいと真剣です。端で見ているお父さんもやりたそうな顔。親子で楽しむ博物館―夏のレキハクはそんな感じです。