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館長室へようこそ!

兵庫県立歴史博物館
館長 藪田 貫
【プロフィール】
 2014年4月1日に、端信行前館長の後任として歴史博物館長に就任しました藪田 貫です。端館長とは年齢は違いますが、大阪生まれ、京都橘女子大学教授を勤めたことなど共通点があり、初対面の時に話が盛り上りました。
 専門は歴史学、とくに日本近世史(江戸時代史)の社会史・女性史です。大阪大学大学院修士課程を終え、大阪大学助手・京都橘女子大学助教授を経て、1990年から関西大学文学部教授を勤めており、今年1年は、館長との兼務となります。
【「館長室へようこそ」について】
 「館長室へようこそ」では、歴史博物館に関する話題や、兵庫県の歴史・文化のニュース、私が折に触れて感じたことなどを、皆さんにお伝えしたいと思っています。「歴史ステーション」にお越しになった時に、気楽に立ち寄って、おくつろぎ下さい。  みなさんのお便りなども、お待ちしています。
あて先 : Rekishihakubutsu@pref.hyogo.lg.jp
 

  歴史博物館と姫路城 2  2014年4月29日

 桜が散り、姫山公園の緑が濃くなってきました。館内二階の食堂「はりまっ子」から見下ろす景色は、「緑陰幽草、花時に勝る」がピッタリです。徐々に姿を現す天守閣の白と、木々の緑のコントラストが日ごとに鮮やかになっています。

 特別展「軍師官兵衛」が後期展示に変わったので、たくさんの観覧者と一緒にあらためて見学しました。官兵衛孝高の人生を辿る形で構成されている展示の中でも、とくに私の印象に残るのは二つの文書です。ひとつは官兵衛が荒木村重の下で幽閉されている時に、家臣たちが交わした起請文、もうひとつは秀吉の怒りを買った官兵衛が、嫡男長政に宛てた書置。どちらも黒田家存亡の危機に直面した時のものだけに、文書には緊張感が漂っています。起請文の宛先が「ご本丸様」つまり正室光であるのも、主人(孝高)と嫡男(長政)が揃って不在という異常事態を物語ります。また書置には末尾に、孝高から長政に与えられた文書が、さらに忠之に与えられる旨が注記され、孝高・長政父子の直筆が認められます。「書は人なり」と言いますが、この書置は実に味わい深い逸品です。

   
 
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