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兵庫県立歴史博物館 館長 端 信行
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2周年目の東日本大震災に思う 2013年3月15日 |
あの3.11から2年がたった。わたしには、忘れがたい阪神・淡路大震災の記憶がまだ鮮明に残っているだけに、3.11には、格別の思いがする。
伝えられる映像を見ると、やはり3.11は、津波被害のそこ知れない大きさを感じる。阪神・淡路大震災の復興に当たっては、震災に備えることが大前提であったが、東日本大震災ではもっぱら津波対策をどうこうじるかが前提となっている。当然、高台居住が考えられるが、それは復興というよりもはや新都市の建設に近い。
そのような議論のなかでは、文化の伝承はどのように位置づけられるのだろうか。
本館の職員も文化財の救出に参加したが、博物館の役割は文化財の保護・保全だけではすまない。博物館は、地域の文化を次の世代に、さらには未来に向かって伝承する役割を担う。新都市の建設に文化の伝承をどう結びつけるか、大きな課題である。
姫路では、いま「三ツ山大祭」の準備がすすんでいる。もうすぐ播磨総社としての伝統を受け継ぐ大きな祭礼がはじまる。文化の伝承ということを、身をもって体験する貴重な機会である。本番を前に、本館の展示で事前勉強をされることをお勧めする。