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兵庫県立歴史博物館 館長 端 信行
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夏の終わりに 2011年9月15日 |
猛暑、節電に明け暮れた夏も過ぎたかと思えば、まだまだ厳しい残暑がつづいています。 そんななか、9月11日には東日本大震災からちょうど半年がたった。東日本大震災は被災地が広大で、地域差も大きく、復興の足並みがなかなか揃わないようにみえる。行政はとかく公平に、平等に、そして画一的に働く傾向があるが、これは平時には有効かも知れないが、大震災後の復興という非常時にはかえって足かせになっているようにみうけられる。新内閣には、地域の特性を見つめ、創造性にみちた復興支援をめざしてほしいものだ。
奇しくも、この9月11日は、ニューヨークのツウィンビルのテロ破壊から10年目にあたるという。この6月には、首謀者ともくされたR氏の暗殺もあった。多くの犠牲者をだしたこのテロ破壊以後、普通に暮らす人びとの安全そのものが大きな政治的社会的課題になったという。
普通に暮らす人びとの安全が政治的社会的課題という意味では、大震災もテロ破壊もまったくおなじである。現代文明は、人びとの安全を組み込んだ、あたらしいシステムを構築しなければならない。土石流災害もおなじことであろう。なかなか終焉しない夏日のなかで、もの思うことがおおいこの頃である。