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兵庫県立歴史博物館 館長 端 信行
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この一年をふりかえって 2010年12月15日 |
早いもので、平成22年もあと半月を残すばかりとなりました。皆さまは、この一年つよく印象に残っているのはどのようなことでしょうか。
わたしは、この10月に名古屋で開催されましたCOP10、生物多様性の保護をめぐる国際会議がつよく印象に残っています。といいますのも、わたしたちが取り組んでいる歴史文化(遺産)と非常によく似ているからです。生き物の場合は、環境の変化・悪化によって希少種や絶滅種などの増加が危惧され、その生物だけを保護しても意味がなく、それらが生きる環境全体を<生態系>として保護しようという考え方です。
歴史文化の場合も同じことなのです。博物館にはたくさんの資料が収集保存されています。それらの資料1点1点も大切なのですが、それと同時に、それらの資料がつくられたり使われたりした過去の環境、つまり文化をあきらかにし保護することが重要なのです。資料だけが大切なのではなく、資料を生み出した文化こそ大切なのですね。
当館では、平成23年を迎えると、すぐに8日(土)から特別企画展『姫路 今むかし』を開催します。姫路のまちの文化がどのようにかわってきたのか、1点1点の貴重な資料を鑑賞するだけでなく、それらが今につたえる‘まちの文化’に思いをいたすのも興味深いのではないでしょうか。
この一年、いろいろなかたちで歴博を支援・応援してくださった県民の皆さまにこころより御礼申しあげます。皆さま、よいお年をお迎えください。