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兵庫県立歴史博物館 館長 端 信行
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趣味を“塾”で学ぶ―江戸時代の豊かさをいまの時代に― 2010年5月15日 |
もう、皆さまには、いま当館で開催中の特別展『彩―鶴沢派から応挙まで―』をご覧いただけたでしょうか。展覧会の題名にある<鶴沢派>とは、江戸時代の中・後期に京都で独特の画風を確立しながら全国の門人に画を教えた、京都のいわば“画塾”なのです。
“塾”は日本の伝統なんですね。いまのわたし達の社会では学習塾が大流行で、幼い子どもたちから大学生、社会人までさまざまな学習塾に通って学んでいます。現代は“学習塾”の時代と言っていいかも知れません。応挙が画を学んだ時代は、画の“塾”があったんですねえ。この展覧会では、地方に住む門人が京都の師匠に画を習う様子が丁寧に紹介されていて、大変興味深いものがあります。
現代では、趣味を習うというと各種カルチャー・センターや行政の講座などがありますが、趣味を“塾”で習うというのもひと味ちがった学びかも知れません。というより、趣味というものは、師匠に就いて“塾”で学ぶのが本来のすがたではないでしょうか。
そんなことを考えたこの展覧会、会期は6月13日(日)まで、ぜひお見逃しなく。