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兵庫県立歴史博物館 館長 端 信行
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「ちいさきもの」の超美意識に驚嘆 2010年2月15日 |
当館では、現在、特別企画展『ミニチュアの世界−小林礫斎と手のひらの宇宙』を開催しています。皆さま、もうすでにご覧いただきましたか?
いやはや、かく言うわたくしもこれまでいろいろな展覧会を観てきましたが、小林礫斎の作品を観るのははじめてです。普通、ミニチュアと言えば、ひな祭りのお飾りに使われるおもちゃの調度品や建物の建築模型などを思い浮かべるのですが、小林のそれはそんなものではない。それは顕微鏡的な「ちいささ」である。どのように作製するのかがちょっと謎である。その謎が意味不明の不安感を抱かせる。
この感覚をどう表現すればよいのか、いささかことばに苦しむ。通常であれば、こうした工芸作品はその作者の美意識に支配されている。しかし、この小林の作品はそれをも超えている。美意識はむしろ注文者である中田の方にあるのかも知れない。これらの作品をじっと観ていると、何か不思議な世界に入り込むような錯覚に襲われる。皆さまも是非、一度お試しください。これはおすすめです。