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兵庫県立歴史博物館 館長 端 信行
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豪雨災害に思う 2009年8月15日 |
佐用川の氾濫による豪雨災害は、佐用町の中心部を襲い避難中の人をも巻き込んで多くの死者・行方不明者を出す大きな惨事となった。被災男性がテレビのインタービュにこたえて「いつも災害というと他人事のように思っていたが、まさか自分の足下でこんな惨事が起こるとは、・・」と絶句されていたが、被災直後の正直な気持ちであったろうと思われた。同時に、同じような惨事が地域をかえながらどうしてこう何度も起こるのか、というやるせない気持ちに襲われる。
兵庫県では阪神・淡路大震災を機に大いに防災に努める行政を進めているが、それでも現実にこうした災害がつぎつぎに起こる。しばしば「歴史に学ぶ」とか「過去の教訓」などといわれるが、このことを真に意味あるものにするにはどうすればよいのだろうか。いろいろな考え方はあるだろうが、ひとつには「地域の歴史」を負(災害)の側面からみることも必要なのではないか、と痛感するところである。