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兵庫県立歴史博物館 館長 端 信行
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夏だ、子どもたちへの贈りもの 2008年8月15日 |
8月に入って早やなかば、関西の各地ではお盆や平和を願うさまざまな行事がおこなわれますね。小・中学生も夏休みの真っ最中でしょう。当館においても、夏休み向けの親子シリーズと銘打った特別企画展『光と影のワンダーランド』が賑やかにはじまりました。また先月ちょっと予告をしましたが、小学5,6年生を対象としたサマースクール・ワークショップも先週からはじまりました。元気な小学5年生の仲間が参加してくれています。
最近では、ほとんどの博物館や美術館で、8月に子ども向けのワークショップ・プログラムを開催しているようです。これは大変よいことだと思います。日本の博物館や美術館はまだまだ大人のための施設という印象が強く、なかなか子どもたちが興味をもてる施設にはなっていないように思います。当館の場合でも、小学5年生たちが好奇心で目を輝かせて食いついていける展示室はけっして多くはありません。ちょっと難しく、これ何やと疑問に思っても、その場で答えが得られないと、子どもたちは次へ視線を移してしまう。これを2,3度か繰り返すと、もう子どもたちは完全にその展示室への興味を失ってしまう。多くの場合、そのまま博物館への興味すら失ってしまうのではないでしょうか。
ワークショップ・プログラムは、そうした子どもたちが博物館や美術館に慣れ親しむために開発されたものです。それは子どもたちの創造性や感性をはぐくみ、知識を得るためだけでない博物館や美術館があることを体験します。この夏、全国で、いや世界で、こうしたワークショップや展覧会をとおして、多くの子どもたちが博物館や美術館のとびらをひらくことでしょう。