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館長室へようこそ!

兵庫県立歴史博物館
館長 端 信行
【プロフィール】
 私は2002年から、兵庫県立歴史博物館で館長をつとめています。
 大阪府に生まれました。専門は文化人類学と比較文明論です。京都大学文学部を経て、1974年に国立民族学博物館助教授となり、1992年からは同館の教授を、2001〜2007年には、京都橘大学で教授をつとめました。
 
 ※端館長は2014年3月末日に退任し、現在は名誉館長です。このページは過去ページを表示しています。
【「館長室へようこそ」について】
 「館長室へようこそ」では、歴史博物館に関する話題や、兵庫県の歴史・文化のニュース、私が折に触れて感じたことなどを、皆さんにお伝えしたいと思っています。「歴史ステーション」にお越しになった時に、気楽に立ち寄って、おくつろぎ下さい。  みなさんのお便りなども、お待ちしています。
あて先 : Rekishihakubutsu@pref.hyogo.lg.jp
 

 家族で利用できる博物館づくり 2008年6月15日

 今月はいささか話が堅くなりますが、とても重要な内容なので、あえてこの館長室からメッセージさせていただきます。

  先ごろ、開会中の国会において「社会教育法等の一部改正」が審議のうえ承認されました。このなかには「博物館法の一部改正」も含まれていますので、わたしたちも目がはなせません。博物館運営の専門的な課題は少し横において、今回の改正の内容についてわたくしの目に留まったことを述べたいと思います。

  今回の「社会教育法等の一部改正」は教育基本法の改正を踏まえて行われたもので、条文の何ヵ所かに家庭教育ということばがあらたに採りあげられており、社会教育と家庭教育との相互連携が意図されていることがつよく印象づけられました。よく知られているように、家庭教育は‘教育’の大きな柱でありますが、学校教育や社会教育のように制度や施設が社会的に整備されている分野ではなく、家族の健全な営みを前提にして成り立っているものです。しかし、家族の営みは価値観や経済生活など世相の変化を受けやすく、かねてから家庭教育の脆弱化が指摘されてきました。今回の法改正はそうした社会的要請を受けてのことだと思われます。

 それでは博物館は家庭教育とどのように相互連携できるのでしょうか。当館は、昨年4月に「交流博物館」を新しい理念としてリニューアルしました。この「交流」のもっとも大きな願いは、小さい子どもさんから高齢者の方まで、また男女を問わずさまざまな関心を持つ人びとが、いつでも自由に利用できる博物館でありたいということです。昨年から親子連れの来館者がずいぶん増えました。大変うれしく思っています。家族で利用できる博物館づくりこそ、家庭教育と博物館の相互連携の大きなテーマと言えるでしょう。

   
 
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