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兵庫県立歴史博物館 館長 端 信行
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家族で利用できる博物館づくり 2008年6月15日 |
今月はいささか話が堅くなりますが、とても重要な内容なので、あえてこの館長室からメッセージさせていただきます。
先ごろ、開会中の国会において「社会教育法等の一部改正」が審議のうえ承認されました。このなかには「博物館法の一部改正」も含まれていますので、わたしたちも目がはなせません。博物館運営の専門的な課題は少し横において、今回の改正の内容についてわたくしの目に留まったことを述べたいと思います。
今回の「社会教育法等の一部改正」は教育基本法の改正を踏まえて行われたもので、条文の何ヵ所かに家庭教育ということばがあらたに採りあげられており、社会教育と家庭教育との相互連携が意図されていることがつよく印象づけられました。よく知られているように、家庭教育は‘教育’の大きな柱でありますが、学校教育や社会教育のように制度や施設が社会的に整備されている分野ではなく、家族の健全な営みを前提にして成り立っているものです。しかし、家族の営みは価値観や経済生活など世相の変化を受けやすく、かねてから家庭教育の脆弱化が指摘されてきました。今回の法改正はそうした社会的要請を受けてのことだと思われます。
それでは博物館は家庭教育とどのように相互連携できるのでしょうか。当館は、昨年4月に「交流博物館」を新しい理念としてリニューアルしました。この「交流」のもっとも大きな願いは、小さい子どもさんから高齢者の方まで、また男女を問わずさまざまな関心を持つ人びとが、いつでも自由に利用できる博物館でありたいということです。昨年から親子連れの来館者がずいぶん増えました。大変うれしく思っています。家族で利用できる博物館づくりこそ、家庭教育と博物館の相互連携の大きなテーマと言えるでしょう。