学校長挨拶

学校長挨拶2026年4月1日

Let's write your learning story at Nagata High School


兵庫県立長田高等学校のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。

本校は、大正10年(1921年)に兵庫県立神戸第三中学校として創立し、以来「神撫教育」を理念に掲げ106年目を迎えました。これまでに多くの優秀な人材を世に輩出し、卒業生は経済、学芸、政治など各界で広く活躍されています。
 生徒たちは、教科の学習はもとより、部活動や探究活動、学校行事、海外研修など、自らの個性や意欲を生かしながら、多様な教育活動に全力で取り組んでいます。各種の科学や文化的なコンテスト、海外短期留学にも積極的に挑戦し、その中で自らの可能性を試し、伸ばしながら、充実した高校生活を送っています。
 また、本校では服装や髪型など学校生活のルールを基本的に「自由」としています。この自由を主体的に受け止め、自ら考え、判断し、行動する姿勢こそが長田生の特長です。自律と責任を伴った自由のもとで、生徒たちはのびのびと学校生活を楽しみ、大きく成長しています。


1 神撫(しんぶ)教育

初代校長近藤英也先生が掲げられた3つの教育方針

  • (一)「智・徳・体」の調和・統一した全人教育
  • (二)一芸一才つまり個性を伸ばす教育
  • (三)自己教育力を養う教育

を受け継ぎ、文武両道の公立高校として躍動し、地域社会から信頼される学校をめざします。

2 スクール・ミッション

自他を尊重する豊かな人間性とともに、創造的な探究力と多様な個性を活かす包括的な指導力を備え、主体的に未来を切り拓く、高い志を持ったグローバルリーダーを育成します。

3 スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」(文部科学省指定)

科学的データや理論に基づいて課題を分析する力(数理科学的思考力)と、国際社会で実践的に活用できる語学力(グローバル・コミュニケーション力)を基盤として、科学技術、医療、人文社会等の各分野において新たな価値や解決策を構想し、提案・発信・実践できる、グローバル人材の礎を育成します。

生徒一人一人が、自らの目指す未来に挑戦できる高校であり続けるため、創立以来受け継いできた全人教育と、新たな価値を創出する探究活動を両輪として、本年度も「自然体の長田高校」を着実に推進してまいります。
 温かいご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

兵庫県立長田高等学校
校長 藤原 生也

1学期始業式 校長式辞(要約)2026年4月8日

 令和8年度がいよいよスタートしました。本日は第81回生の入学式を迎えます。校門の桜が満開の中で新年度をスタートでき、嬉しく思っています。皆さんは一つ学年が上がり、それぞれにとって新しい一年の始まりです。私自身も長田高校の校長として三年目の春を迎え、「今年も新しい一年が始まる」と改めて気持ちを引き締めているところです。皆さんの活気ある姿に力をもらいながら、充実した一年にしたいと思っています。今年も一緒に頑張りましょう。よろしくお願いします。

 さて、現代社会では、身近な出来事と世界の動きが密接に関わっています。例えば、令和8年4月1日施行の改正道路交通法により、16歳以上の自転車利用者には交通違反に対する反則金制度が適用されることとなりました。スマートフォンの操作やイヤホン使用など、日常的に見られる行為が重大な事故につながる可能性があることを踏まえた制度です。また、中東情勢の緊張は遠い地域の出来事のようでありながら、エネルギー価格や物価の上昇を通じて私たちの生活にも影響を及ぼします。こうした社会の動きを「自分事」として捉え、関心を持つ姿勢は、長田生にとって非常に大切だと思っています。

 不安な話題が多い中で、高校生による注目すべき成果が報じられました。宇宙には明るさが変化する「変光星」があり、その観測は宇宙の仕組み解明に重要とされています。アメリカ航空宇宙局(NASA)は2009年に赤外線宇宙望遠鏡WISEを打ち上げ、約10年間にわたり観測を行い、約2000億行に及ぶ膨大なデータを蓄積しました。しかし、その量の多さから解析が進まず、多くの発見が埋もれた状態にありました。こうした中、ある高校生がAIを用いたデータ解析プログラムを自ら開発し、未発見だった変光星を150万個以上発見しました。この成果は論文として発表され、世界的な注目を集めています。彼はカリフォルニア工科大学のインターンシップに参加し、手作業による解析の課題に直面したことを契機に、作業の自動化に取り組みました。
 重要なのは、その成果を成し遂げたのが、特別な研究者ではなく、皆さんと同じ「高校生」であるということです。彼が、与えられた機会に主体的に挑戦し、自ら課題を解決したことが、この成果につながったといえます。与えられた機会を生かし、自ら行動することの大切さを示しています。

 皆さんも、今年も、たくさんのことを学び、たくさんのことに挑戦すると思います。特別なイベント参加に限らず、本校においても、日々の授業や部活動、学校行事、SSH事業や課題研究・・・、3年生にとっては受験も「挑戦」です。それぞれが、自らやりたいこと、そしてやるべきことに真摯に向き合い、徹底して取り組む中で、自分なりの確かな成果をつかんでほしいと思います。

 3年生にとっては進路実現に向けた重要な一年となりますが、これまでの経験から、最後まで部活動や行事に全力で取り組んだ生徒ほど、その後の成長が著しいことが分かっています。この1学期は、今なすべきことに真摯に向き合い、一つひとつを、しっかりやり切ってください。

 最後に、ニュージーランドからの留学生を紹介します。温かいサポートをお願いします。

 今年も皆さんに大きな期待をしています。それぞれが、それぞれの挑戦をしてくれることをお願いして、1学期の始業式の式辞とします。

令和8年度 第81回入学式 式辞2026年4月8日

春の息吹が感じられるこの佳き日、校門の桜は満開を迎え、やわらかな春の光の中で美しく咲き誇っています。新緑も芽吹き始め、生命の輝きに満ちた季節となりました。
 本日ここに、兵庫県立長田高等学校第81回入学式を挙行できますことは、この上ない慶びであります。ご臨席いただきましたご来賓並びに保護者の皆様に対し、高い所からではございますが、心より御礼申し上げます。
 ただ今、入学を許可しました320名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。本校教職員、在校生を挙げて、皆さんの入学を心より歓迎いたします。

 本校は大正10年4月、県立第三神戸中学校として創立され、本年度で106年の歴史を刻みます。これまでに多くの優秀な人材を社会へ送り出し、経済、学術、文化、行政など各分野において広く活躍されております。その歩みの中で、本校は地域社会からの信頼を得るとともに、「兵庫県に長田高校あり」と評される存在となってまいりました。
 とりわけ近年は、国指定のスーパーサイエンスハイスクール事業をはじめ、探究活動や国際交流などの教育活動を一層充実させ、国内外で活躍するために必要な、課題解決能力の育成に取り組んでおります。その成果は、学習面・課外活動の両面において着実に現れております。
また、本校は自由闊達な校風を誇りとし、その魅力を内外に発信していますが、この「自由」を主体的に受け止め、自ら考え、判断し、行動する姿勢こそが長田生の真価です。自律と責任を伴う自由のもとで、生徒たちはのびのびと学校生活を楽しみながら、着実に成長を遂げています。
 新入生の皆さんには、自分を自分らしく表現できる本校に入学した価値を胸に刻み、この「自然体」の校風を継承するだけでなく、さらに発展させ、自らが長田高校の新たな歴史を築いていくのだという気概をもって学校生活に臨んでほしいと願っています。

 さて、本校教育の根幹である「神撫教育」は、本校初代校長 近藤英也先生が、本校の地名「神撫台」にちなみ示された教育指針です。皆さんに配付した『開門の章』に記されている通り、その要点は次の三つに集約されます。
 一つ、「智・徳・体」のいずれにも偏ることなく、調和・統一して発達を目指すこと。
 一つ、すべての人が持つ一芸一才すなわち個性を見いだし、これを伸ばすこと。
 一つ、「学ぶ」ことを通して、人間としての在り方を自ら問い続けること。
これらに共通するのは、「長田高校でいかに学ぶか」という姿勢にほかなりません。

 そこで、入学にあたり、皆さんに一つの言葉を紹介します。
 それは、「幸運は準備された心に宿る」という言葉です。これはフランスの科学者ルイ・パスツールの言葉ですが、昨年ノーベル化学賞を受賞された北川進さんも、受賞記念の講演の中でこの言葉を引用し、自らの経験と重ねて語られました。
 北川さんは、研究者としての多くの出会いや発見は決して単なる偶然ではなく、日々の努力によって培われた「準備された心」が引き寄せたものだと語られ、強調されました。この言葉は、皆さんのこれからの高校生活を考えるうえで、大切な示唆を与えてくれます。
 高校生活は、単に知識を身につける場ではありません。自ら問いを立て、考え、挑戦し、自分自身の可能性を広げていく三年間です。その中で出会う学び、友人、さまざまな 機会は、決して偶然に与えられるものではありませんし、ただ待っていて与えられるものでもありません。日々の姿勢によって、その価値が大きく変わっていきます。
 授業に臨むとき、ただ受け身でいるのか、それとも「なぜだろう」と問いを持って向き合うのか。
 課題に取り組むとき、与えられた範囲で終わるのか、それとも自ら広げていくのか。
 その一つひとつの選択の積み重ねが、やがて皆さんの力となり、未来の可能性を大きく左右します。
 本校が何より大切にしているのは、「主体的に学ぶ姿勢」です。どうか皆さん、この長田高校での三年間を、「準備された心」を育むかけがえのない時間として大切にしてください。主体的に学びへと向き合い、目の前の機会に誠実に取り組み、多様な人々との出会いを重ねながら、失敗を恐れず挑戦を続けてほしいと思います。そうした一つひとつの経験の積み重ねが、やがて皆さん自身の未来を切り拓き、好機を引き寄せる確かな力となります。
 幸運は準備された心に宿る。「長田高校での積み重ねがあったからこそ、今の自分がある」と、胸を張って語ることのできる、充実した高校生活を築いてください。

 最後になりましたが、保護者の皆様に一言ご挨拶申し上げます。本日はお子様のご入学おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。高校三年間は、人生の方向を大きく左右する重要な時期であると同時に、悩みや葛藤を経験する時期でもあります。本校教職員は、お子様が自らの力で進むべき道を切り拓いていけるよう、全力で支援してまいります。どうか本校の教育方針に深いご理解とご協力、そしてご信頼を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 それでは新入生の皆さん。ここには、ともに高みを目指す仲間が集っています。これからの歩みの中で、自分の力にふがいなさを感じ、悩むこともあるでしょう。しかし、自分と他者をいたずらに比較して心を曇らせる必要はありません。人にはそれぞれの個性があり、歩む速さが異なるからこそ、それぞれにふさわしい形で花開くものです。どうか、この恵まれた環境に身を置いていることの意味と喜びを大切にし、志を同じくする仲間とともに、学習に、探究に、そして部活動に、持てる力を存分に発揮してください。皆さんにとって、本校での三年間が、実り多く、かけがえのない青春の日々となることを心より願い、式辞といたします。


兵庫県立長田高等学校
校長 藤原 生也

創立記念日に寄せて2026年4月14日

4月16日は本校の創立記念日にあたります。
 「創立記念日」とは学校の原点の日ですから、初心を思い出す意味でも意義深いものだと思います。

 本校は大正9年に設立が認可され、大正10年に開校した兵庫県立第三神戸中学校がその前身です。その頃、のちの神戸高校、兵庫高校となる第一神戸中学校、第二神戸中学校が既に開校されていましたが、中学校への志願者が多く、県民の要望を受ける形で第三神戸中学校が新設されることとなりました。この大正9年は1920年ですから、今年は創立106年目にあたることになります。

 第三神戸中学校の校舎は、現在地と同じ場所にありました。
 本校の所在地は池田谷町です。この地域はかつて水田が多く、灌漑用のため池も数多く存在していました。実は、現在の学校の敷地も、そうしたため池を埋め立てて整備されたものだと伝えられています。グランドは、昭和36年に現在の神撫台グランドができるまでは、今の西代中学校の場所にあったそうです。
 神撫台グランドといえば、本校の伝統である「周回走」です。この周回走が始まったのは、今からおよそ50年以上前、昭和45年頃のことです。当時は学生運動の影響で授業が思うように行えない時期があり、体育の授業も十分に実施できない状況でした。そのような中で、当時の生徒たちが「授業をしてほしい。それが難しいのであれば、せめて走らせてほしい」と先生方に申し出たことがきっかけとなり、周回走が始まったと伝えられています。つまり、この周回走は、生徒自身の主体的な要望から生まれた伝統なのです。
 皆さんの中には周回走が苦手と思っている人がいるかもしれません。しかし、卒業生の方々は、「生徒であった当時は辛かったものの、卒業すれば回生が異なっても共通の話題となる。」、「周回走によって体力が培われ、それで大学受験でも力を発揮することができた。」、「走っている時は辛いかもしれないが、必ず心身ともに強くなって、将来の糧になる。」と皆さんにエールを送っておられます。自分自身の未来のために、前向きに取り組んで欲しいと思います。

 その後、戦後の学制改革により、「長田高等学校」へと校名が変更されたのは昭和23年のことです。以来、先輩たちは、神戸三中の伝統を踏まえつつ、高校生の本分を全うしてこられ、今では文武両道の公立高校として、県内はもちろん、全国的に評価されるところとなっています。

 校門を入ったところには、本校初代校長・近藤英也先生の胸像があり、今も変わらず皆さんを見守っておられます。その近藤先生が示された本校の教育の根幹が、「神撫教育」です。近藤先生は、創立10周年記念式典において、「開門の章」を通して、この神撫教育の理念を明確に示されました。神撫教育は本校教育の根幹であり、100年近く本校の教職員、生徒によって受け継がれてきました。その教育理念の3本の柱は次のとおりです。

  • 一つ、「智・徳・体」の調和的発達を目指すこと
  • 一つ、一芸一才、つまりそれぞれの生徒が己の個性を見いだし、その才を伸ばすこと
  • 一つ、学ぶことによって「人間としてどう生きるか」を自分で考える、すなわち自己教育力を養うこと
 創立当時は男子校でした。開校の日、近藤先生は「本校の教育は、立派な人格を備えた紳士を育成することを目的とするものであり、上級学校への進学準備だけでその役割を終えるものではない。」と述べられたと伝えられています。
 この言葉には、学力だけでなく、人としての在り方を大切にするという、本校の教育の原点が込められています。
 現在、様々なことが大きく、そして急速に変化している時代です。変化に適応する力はもちろん重要です。しかし同時に、その変動に流されず、自分自身をしっかりと見つめながら、為すべきことを実行していくため、皆さんの根本に近藤先生がおっしゃっている、「智・徳・体」のバランスをもった人に育って欲しい、「自己教育力」すなわち常に学び続けて、自分を成長させる人となって欲しいと私は願っています。

 最後に、資料によれば、「大正11年4月17日、創立記念登山として摩耶山に登る」との記録があります。開校当初から、本校にとって登山は欠かすことのできない伝統であることがうかがえます。六甲山縦走が、長田高校で結ばれた仲間との絆をさらに深め、思い出に残る登山となることを願っています。

 本日は、4月16日に創立記念日を迎えるにあたり、在校生の皆さんに本校の歴史の一端を通して、本校生としての誇りを持ってもらいたいと願い、お話しました。新入生も、そして先輩となった2・3年生も、伝統ある長田高校のかけがえのない一員として、神撫教育の理念と自由闊達な校風を大切にしながら、次の世代へとしっかりと引き継いでいってくれることを、大いに期待しています。

 以上で、創立記念日に寄せた講話とします。