21世紀の幕開けとなった今年度は兵庫県テニス界にとって、歴史に残る数々のドラマが近畿、全国を舞台に繰り広げられた。ここで、2001年度の各大会について団体戦、個人戦別に振り返ってみたい。
[団体戦]
インターハイ県予選は、ベスト4に明石城西、関西学院、仁川学院、報徳学園が進出し、ベスト8に県伊丹、甲南、長田、西宮南が進出するなど公立勢の健闘が光った。決勝に駒を進めたのは明石城西と関西学院で、明石城西は3連覇を、関西学院は5年ぶりの優勝に向けて、火花を散らせた。初戦のダブルスを接戦の末制した明石城西が勢いに乗り、2−1でこの戦国時代に3連覇を達成し、全国大会への切符を手に入れた。熊本県で行われたインターハイにおいても、その勢いを維持し、3回戦において、昨年度優勝の名古屋(愛知)に2−1、続く4回戦では一昨年度優勝の堀越(東京)に2−0で勝ち準決勝に進出した。相手は今年度優勝校の強豪柳川(福岡)である。善戦するものの、惜しくも敗退。しかし、初のベスト4に輝き、明石城西の名を大きく、全国にとどろかせた。
新人戦ではベスト4に明石城西、関西学院、仁川学院、甲南が進出し、ベスト8に報徳学園、灘、柳学園、三田学園が進出するなど私立勢が名を連ねた。ベスト4による決勝リーグの結果、明石城西は仁川学院、甲南に5−0で圧勝、関西学院も甲南に5−0、仁川学院に4−1と快勝し、明石城西(2勝0敗)と関西学院(2勝0敗)というインターハイ予選決勝同士の対戦となった。雪辱に燃える関西学院はシングルスbP中川(関学)が6−3で勝ったものの、総合力で上回る明石城西が4−1で快勝し、4年連続6回目の優勝を果した。赤穂海浜公園で行われた近畿大会においても、両校は順当に勝ち進み、明石城西は準決勝で東山(京都)に4−1、関西学院も同じく清風(大阪)に4−1で快勝。決勝は、今年度県大会で2度優勝争いを行ってきた明石城西 対 関西学院となった。<3度目の正直>ならぬこの対戦は、近畿大会決勝戦にふさわしい試合となった。「今度こそは…」と燃えに燃える関学陣。「そうはさせじ…」と気合が入る明石城西勢。熱戦が繰り広げられたが、軍配は明石城西にあがった。しかし、優勝、準優勝に輝いた兵庫代表の両校には盛大な拍手を送ると共に、その健闘を讃えたい。また、全国選抜大会での両校の活躍を大いに期待するものである。
[個人戦]
コープ杯を皮切りに個人戦が始まった。インターハイ予選のシード権獲得にも影響する為、選手たちにとっては気が抜けない大会である。シングルス、ベスト4に勝ち進んだのは安田(明石城西)、森谷(仁川)、藤本(明石城西)、中川(関学)。決勝は安田 対 森谷で行われ、6−4、6−3の接戦を制し、優勝したのは森谷であった。ダブルス決勝は安田・藤本(明石城西)対 森谷・大西(仁川)。シングルスに続き、又してもお互いの名誉とプライドをかけた宿命の対戦となった。ファイナルセット6−4の末、森谷・大西が競り勝ち、森谷は2冠に輝いた。
インターハイ県予選は、まさに目が離せない熱戦が繰り広げられた。シングルスでは第1〜4シード選手が実力通り順当に勝ち進み、準決勝が行われた。森谷(仁川)対 藤本(明石城西)、中川(関学)対 安田(明石城西)、それぞれ接戦をものにし、決勝戦は森谷 対 中川で行われた。息詰まる試合もファイナルセットまでもつれこみ、ゲームカウント5−5、3年生最後の意地を見せた森谷が2年生中川を7−5でおさえ念願の優勝を果たした。ダブルス準決勝も同じ顔合わせになった。森谷・大西(仁川)対 城下・中川(関学)の試合は、シングルスの息詰まる死闘を思い出させるような展開となったが、シングルスの雪辱に燃えた城下・中川が決勝に駒を進めた。決勝戦でもその勢いは衰えず、中川・大西(明石城西)をストレートで下し優勝に輝いた。熊本県で行われたインターハイにおいても、森谷は持ち前のねばりをシングルスで発揮し、1回戦を9−8で制し、続く2回戦も突破し、3回戦へと進出した。ダブルスも城下・中川が健闘。3回戦に進出するものの、森・村井(神奈川・藤沢翔陵)に惜しくも3−8で敗退した。
県民大会は3年生が引退したあと、新世代のチャンピオンの座を目指す大会となる。また、9月に行われる近畿大会出場権(シングルス18名、ダブルス9組)をかけての試合となるため、熱戦が繰り広げられたが、連日続く猛暑の中、強靭な体力、精神力が要求され、暑さが最大の敵ともなった。シングルス準決勝は中川(関学)対 徳毛(明石城西)、谷(関学)対 大西(仁川)。決勝戦は同校の1.2年生対決。中川(関学・2年生)対 谷(関学・1年生)の試合は日程の関係で1セットゲームで行われたが、序盤から激しい鍔競り合いが見られた。お互い手のうちを知り尽くした両者、中川は1年生には譲れない先輩の意地とエースの座をかけて、必死にボールを追いかけるのに対し、谷は先輩に胸を借りる気持ちから思い切ったボールを次々と打ち込んでくる。お互い一歩も譲らない攻防はついに、6−6タイブレークに縺れ込んだ。関学応援団も二人の試合を固唾を飲んで見守る。1ポイント、1ポイントまさに気が抜けない。タイブレークを9−7でものにした中川が優勝し、チャンピオンの座に輝いた。ダブルスではbPシード 渋谷・徳毛(明石城西)と2シード 中川・大槻(関学)が順当に勝ちあがった。シングルス準決勝で中川に破れた徳毛(明石城西)は雪辱に燃えた。試合は、序盤から得点ごとに気合の入ったガッツポーズを見せ、勢いで押し切った渋谷・徳毛(明石城西)が優勝を手にした。
近畿大会は予想を上回る兵庫県選手の活躍に大いに盛り上がった。シングルスでは、準決勝で中川(関学) 対 岡田(開智・和歌山)は8−5で中川が、徳毛 対 穴田の同校(明石城西)対決は8−3で徳毛がそれぞれ制し、決勝戦は県大会でも何度か対戦し、熱戦を繰り広げた両者である。徳毛は県大会の悔しさを力にかえ、序盤から猛攻撃を仕掛けチャンスを伺う。中川は一歩のリードも許さず、ファーストセットを7−6、セカンドセットも6−3で競り勝ち、県大会に続いて近畿大会優勝を果たした。ダブルスでも兵庫県選手の勢いは衰えず、準決勝で大西・中山(仁川)が第1シード武村・松永(東山・京都)を下し、徳毛・渋谷(明石城西)は第2シード松田・新谷(大産大附属・大阪)を下し、決勝戦は大西・中山(仁川)対 徳毛・渋谷(明石城西)となった。試合はファイナルセットに縺れ込み接戦となるが、県大会優勝の徳毛・渋谷が近畿大会優勝に輝いた。
2001年を兵庫県は近畿大会団体戦優勝、準優勝、シングルス優勝、準優勝、ダブルス優勝、準優勝と完全制覇で締めくくった。2002年も、兵庫旋風が吹き荒れるものと確信する。 |