(((平成29年度 研究紀要 第128)))
 

若手教員の授業力向上を支える校内OJTの在り方について
−若手教員と先輩教員が協働した授業研究を通して−

泉村 靖治    池内 晃二
栄  久視    小山 恵介
田中 賢司    土肥 勝彦
荻野 直人

 本県では教員の大量退職期の中、喫緊の課題である若手教員研修の改善・充実に向けて、平成27年度、小・中・特別支援学校教員の研修体系を見直し、採用から3年間の導入期の研修において、授業力向上を重点化した研修体系へと再編した。
 平成27年度の研究では、初任者研修における若手教員の主体的・協働的な学びを引き出すアクティブな研修構成の考え方と、若手教員の授業力向上に向けた意欲醸成の過程を考察した(研究紀要126集)。平成28年度は、2年目教員に焦点を当て、校内での教員の学び合いの活性化要因を明らかにしながら、校外と校内の学びをつなぐ研修の考察と、若手教員を育てる効果的な校内OJTの推進方策を提案した(研究紀要127集)。
 3年目となる本研究では、中堅教諭の調査から校内の学び合いの充実に向けた課題を明らかにするとともに、協力校6校の実践から、校内人材を活用し若手教員の授業改善につながる効果的な授業研究の在り方について検証する。

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通常の学級における特別支援教育の視点を生かしたICT活用の在り方
−授業のユニバーサルデザイン化を目指して− 

圓田 元彦    岩井 高士
   西村 研史    福田 秀則
乘松 宏美    増田美佳子
高見 秀樹    古林 達也

 平成28年4月に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」を受け、学校では合理的配慮の観点で指導・支援方法を考えていくことが求められている。本研究グループにおいても、平成28年度からICTに着目した合理的配慮の有効性について研究を続けている(研究紀要第127集)。その成果として、一斉授業の中で特別な支援を必要とする児童生徒に合理的配慮を提供するためにICTを活用したことは、学級全体の児童生徒にとってわかりやすい授業につながったことが明らかとなった。
 よって今年度は、通常の学級において、特別な支援が必要な児童生徒への指導・支援の手立てとしてICTを活用することが、ユニバーサルデザイン化された授業(発達障害がある子だけでなく、全ての子にとってわかりやすい授業(小貫,2014))につながることから、ICT活用の効果的な在り方を探る。その際、各学級の実態に応じて、どのようなICT活用ができるか、@視覚化、A共有化、B構造化の3つの視点を踏まえて整理し、ICT活用の手立てを提案するなど、講座の充実につなげていく。

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“兵庫版”地学教育研修プログラムの作成
−県内施設と連携した研修ネットワークの構築−

藤原 生也    奥田 健二
荒木 和仁    寺戸 武志
古林 達也

 平成28年度に行った本研究においては、県内の県立高等学校理科教員を対象として地学分野の指導に関する実態調査を実施し、地学分野における指導の現状と指導上困難と考えている点を明確にした。さらに、科目「地学基礎」等を指導する理科教員を対象とした研修のニーズが高いという結果を得た。また、「阪神・淡路大震災」を経験した本県では防災教育に力を入れていることから、地学分野の指導と防災教育との関連を示すとともに、教員自身のフィールドワーク体験の促進のため、県内施設等との連携を図りつつ、探究活動に発展できる研修プログラムを提案した(研究紀要第127集)。
 平成29年度は、提案した研修プログラムを「専門性を高める地学講座」として北淡震災記念公園で実施し、研修においては科目「地学基礎」の中の地震と防災の単元を扱った。本年度の研究では、この研修の成果と課題の分析を踏まえ、県内施設と連携した教員自身のフィールドワーク体験の促進と、その体験を通して地学分野の指導に直接生かせる資質・能力を身につけることをねらいとした、教員研修の在り方について提案する。
        

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「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業の在り方について
−高等学校数学科・理科における授業実践を通して-

坂東 修司    横山 恵子
松岡 克晋    奥田 健二
蔭木 作幸

 平成28年12月に出された次期学習指導要領に関する中央教育審議会答申では、「主体的・対話的で深い学び」を実現する、いわゆるアクティブ・ラーニングの視点を、授業改善の視点として明確に位置付けている。本研究では、このような国の動向を踏まえ、高等学校における現状と課題を明らかにしつつ、「対話的な学び」に焦点を当て、高等学校数学科・理科における「対話的な学び」を生かした授業実践を通して、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業の在り方について考察した。
 兵庫県立教育研修所で実施した研修講座の受講者を対象としたアンケート調査の結果からは、ほとんどの教員が、思考力・判断力・表現力や主体的に学習に取り組む態度の育成をめざし、言語活動を中心として、生徒の能動的な学習の参加や思考の活性化・深化を促す学習活動を取り入れていることがうかがえた。その一方、授業の進度が遅くなる、学力の向上に結びつかないといった課題や不安を抱えていることもうかがえた。本研究では、数学科・理科の授業実践を紹介するとともに、指導上の留意点について考察することで、全ての教科における「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた一助とする。

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 高校生の政治的教養を高めるための教育の充実に向けて
−全ての教員による実践を目指した研修の在り方−

藤原 生也     田中 慎一
摺石 敏之     瀬尾 智宏
    藤原 一平 

 平成27年6月に公職選挙法が改正され、選挙権を有する者の年齢が満20歳以上から満18歳以上に引き下げられた。高等学校・中等教育学校後期課程・特別支援学校高等部の生徒の一部は在学中に選挙権を有することとなった。これを契機に、高校生に対する「政治的教養を育む教育」の一層の充実が強く求められている。しかしながら、その役割を担う高等学校教員の中には、政治的教養を育む教育の重要性は認識しながらも、現実には指導内容や指導方法に対するとまどいや不安を抱えて消極的になり、指導をためらう教員も少なからず存在するのが現状である。
 本研究では、生徒の政治的教養を高め、主体的に社会へ参画し協働しようとする態度を養うための教員の指導力の向上を図るために、地歴・公民科を含めた全ての教員が実践できる授業プランの開発及び授業実践の促進に向けた教員研修の在り方について考察する。

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インターネットを使った遠隔授業に関する研究

−効果的な遠隔授業の在り方を探る−

岩井 高士    波部  新
    古林 達也    山本 義史
    脇本 真行  

 インターネットを中心とした情報通信技術(ICT)の発達と普及により、動画や音声等による情報の発信・受信が日常的となっている。本県が運用している教育情報ネットワーク(ひょうごゆずりはネット)でも、教育活動への活用に向けて、これらの技術を利用したWeb会議システムやストリーミング配信等の動画配信サービスを提供している。本研究は、平成28年度からの3年計画で、これらの動画配信サービスを遠隔地間の教職員研修や授業に活用した場合の利点について検証すると共に、具体的な環境や方法について検討する。
 今年度は、遠隔授業に焦点を当て、各都道府県の実施状況を調査すると共に、県立高等学校2校を結んだ研究授業を2回実施し、設備環境や方法について試行錯誤を重ねながら、遠隔授業で対面授業に近い環境を作り出すことができた。今後は、遠隔授業でこそ生み出せる効果や、その必要性などについて検討を進めて行く。

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自他の命を大切にする心を育む教育支援に向けて

−自殺予防に生かせる教育プログラムの実践−

志摩 直樹    増田美佳子
   寺戸 武志    福田 裕子 

 心の教育総合センターでは、昨年度、自殺予防教育の下地づくりとして活用する「自殺予防に生かせる教育プログラム」作成した。完成した本プログラムを当教育研修所Webページで提供するとともに、作成の過程や本プログラムの内容等を研究紀要第127集で報告している。
 今年度は、研究1として、当センターによる自殺予防に係る出前研修を受講した教員の研修前後の意識変化について調査・分析を行った。その結果、自殺予防教育の実践意欲に関わる4要素の意識の向上が見られた。これらの結果と自由記述欄にあった意見を分析し「自殺予防研修プログラム」をモデル化した。
 研究2として、本プログラムの実施前後の生徒の意識変化について調査・分析を行った。その結果、本プログラムのねらいを示した6つの因子のうち、自分の辛い気持ちに早く気付こうとする意識に向上が見られた。また、6つの因子の事前の得点が低かった生徒には、そのうちの5つの因子で意識の向上が見られた。これらの結果をもとに本プログラムの活用の在り方と今後の課題の検討を行った。

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資質向上指標及び教職員研修計画に基づく研修の在り方について

光川 安則    志摩 直樹
村中 利章    泉村 靖治 
    坂東 修司    岩井 高士 
里  知純    藤原 一平

 教員の大量退職・大量採用等の影響により、年齢構成や経験年数の不均衡が生じ、従来の学校組織において自然に行われてきた経験豊富な教員から若手教員への知識及び技術等の伝達が困難になるなど、教員を巡る環境が大きく変化している。また、グローバル化、情報化の進展等、社会が急速に変化する中にあって、こうした状況の変化を踏まえた新しい時代の教育に対応できるよう、学習指導要領の趣旨を実現するための教員の資質の向上に向けた環境を整えることが不可欠である。
 そこで、教員の養成・採用・研修を通じた新たな体制の構築等のため、平成28年に教育公務員特例法等の一部を改正する法律が成立した。この改正教育公務員特例法において、公立の小学校等の校長及び教員の任命権者は、指針を参酌しつつ、その地域の実態に応じ、指標を策定することとし、その際、協議会における協議を経ることとするなどの新たな制度が創設されたところである。
 本研究では、兵庫県教育委員会が策定した「兵庫県管理職資質向上指標」、「兵庫県教員資質向上指標」、「兵庫県教職員研修計画」に基づく研修の在り方について考察する。

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