(((平成28年度 研究紀要 第127)))
 

若手教員の授業力向上を支える校内OJTの活性化について
−校外で習得した若手教員の学び方を生かした校内OJTの展開を通して−

義務教育研修課  主任指導主事兼班長  足立  延也
 主任指導主事  池内  晃二
主任指導主事  栄   久視
指導主事  田中  賢司

 本県では教員の大量退職期の中、平成27年度、喫緊の課題であった若手教員研修の改善・充実に着手し、小・中・特別支援学校教員の研修体系を見直し、採用から3年間の導入期の研修に重点を置いた教員研修体系へと再編した。再編の趣旨は、授業で勝負ができる教員を3年間で育成することと、若手教員を支えるサポート体制を充実させることの2本であり、「授業力向上」と「同僚性」がキーワードであった。そこで、新たな学びの場として、研修グループを単位に授業研究を繰り返す「授業実践研修」を導入した。
 昨年度の研究では、この「授業実践研修」を中心に、若手教員の主体的・協働的な学びを引き出すアクティブな研修展開の考え方と、若手教員の授業力向上に向けた意欲醸成の過程を考察した。
 本研究では、初任者研修を終えた2年目教員の校内での学びに焦点を当て、校内での教員の学び合いの活性化要因を明らかにしながら、校外での学びと校内の学びをつなぐ研修の在り方の考察と、3校の共同研究校の実践から、校内人材を活用し若手教員を育てる効果的な校内OJTの推進方策を探る。

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「学校ミドルリーダー」に求められる資質・能力の育成に向けた
研修の在り方について
  

高校教育研修課 主任指導主事兼班長  藤原 生也
   主任指導主事  坂東 修司
指導主事  松岡 克晋 
義務教育研修課 主任指導主事兼課長  生田 淳仁 
  主任指導主事  岩淺 克友希
指導主事  村上 悦子

 教員の大量退職・大量採用による年齢や経験年数の不均衡から、学校経営に積極的に参画する中堅教員の育成が喫緊の課題である。そんな中、「10年経験者研修」の実施時期の弾力化や「中堅教諭等資質向上研修」への名称変更等を盛り込んだ教育公務員特例法等の一部を改正する法律が公布された。この改正により、本研修のねらいが「教育活動その他の学校運営の円滑かつ効果的な実施において中核的な役割を果たすことが期待される中堅教諭等としての職務を遂行する上で必要とされる資質の向上」と改められ、中堅教員の役割が明確化された。また、次期学習指導要領実施に向けた中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」では、校内の研修体制の一層の充実と学校組織全体としての指導力向上を図ることの重要性に言及しており、中堅教員が学校運営に参画し、学校の中核的な役割を果たすことが今後一層期待されることになる。
 本研究では、このような国の動向も踏まえ、昨年度から取り組んできた「学校ミドルリーダー」に求められる資質・能力の育成に係る研究のまとめとして、「学校ミドルリーダー」を育成するための研修の在り方について考察する。

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兵庫県教員研修スタンダードの検討とそれに基づく研修の改善について

管理部長  光川 安則
教務部長  宮垣  覚
所長補佐  片岡 正光
企画調査課 主任指導主事兼課長  村中 利章
指導主事  藤原 一平
指導主事  尾田 貴之
義務教育研修課 主任指導主事兼班長  足立 延也
高校教育研修課 主任指導主事兼班長  藤原 生也
情報教育研修課 主任指導主事兼課長  岩井 高士 

 平成28年11月、「教育公務員特例法等の一部を改正する法律」が成立し、教員の養成を担う大学と採用後の教員の資質向上を担う教育委員会等が「協議会」を設け、文部科学大臣が策定する指針を参酌した上で、任命権者が教員の資質の向上に関する「指標」を策定し、それを踏まえた「研修計画」を策定するという新たな制度が創設された。これにより、大学と教育委員会等の協働を強化しつつ、教員のキャリアステージに応じた資質の向上を図る体制を整備し、新たな時代に対応した専門性の高い教員の養成・採用、及び研修を通じて資質の向上を図ることが期待されているところである。
 上記の動向を踏まえ、本研究では、昨年度、当教育研修所が策定した教職キャリア全体を見通し教員が各段階で身に付けておきたい資質・能力を、各研修のねらいやシラバスをもとに到達目標として整理した「兵庫県教員研修スタンダード」と、平成29年2月に公表された「公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針案」の項目を比較し、指標の策定や指標に基づく研修計画策定に向けての課題等を整理する。
             

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全ての教職員が関わる「カリキュラム・マネジメント」の確立に向けて
−学校評価の工夫・改善に着目した研修案の作成を通して−

高校教育研修課 主任指導主事兼課長  駒田  勝 
主任指導主事  泉村 靖治
主任指導主事  荒木 和仁
主任指導主事  横山 恵子
主任指導主事  井守  貢

 中央教育審議会「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」において、学校評価は、「子供たちの資質・能力の育成や『カリキュラム・マネジメント』と関連付けながら実施されることが求められる」とされ、更に「学校評価において目指すべき目標を、子供たちにどのような資質・能力を育みたいかを踏まえて設定し、教育課程を通じてその実現を図っていくとすれば、学校評価の営みは『カリキュラム・マネジメント』そのものである」と述べられている。
 本研究では、高等学校の教員に対するアンケートや先行研究に基づいて現行の学校評価が抱える課題について考察し、省察から改善へと繋げることができる学校評価(C)に着目して研修の一例を示し、全ての教職員が関わる「カリキュラム・マネジメント」の実現に向けた一助とする。

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 “兵庫版”地学教育研修プログラムの作成
−関係施設と連携した研修ネットワークの構築−

教務部長    宮垣  覚
高校教育研修課 主任指導主事    荒木 和仁
義務教育研修課     指導主事    寺戸 武志
 情報教育研修課     指導主事    古林 達也
    指導主事    奥田 健二

 現行の高等学校学習指導要領では、物理、化学、生物、地学のうち3領域以上を学び、履修の柔軟性を向上させながら、基礎的な科学的素養を幅広く養い、科学に対する関心をもち続ける態度を育てるとある。さらに、基礎的な科学的素養を幅広く養うことは、今日の「知識基盤社会」において重要であるとしている。
 このような幅広い科学的素養を養う観点から、本県においても地学分野の履修者数が増加しており、同分野の指導力向上の必要性は高まっている。しかし、本県では、昭和60年以来、公立高等学校教員採用試験の理科のうち地学を専門とする教員の採用をしていない。県内の多くの公立高等学校において、科目「地学基礎」、「地学」等の授業を、専門外の教員が担っている状況が続いており、今後もこの状況が変わらないだろうと考えられ、地学分野の教員研修の充実が求められる。
 本研究では、県内の県立高等学校理科教員に対して実施した地学分野の指導に関する実態調査から、地学分野における指導上の困難点を明確にし、「阪神・淡路大震災」を経験した本県ならではの特性を生かし、県内施設等との連携を図りつつ、今後探究活動にも発展できる研修プログラムを提案する。

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特別支援教育の充実に向けたICT活用の在り方について

−通常の学級に在籍する児童生徒への合理的配慮の提供を視野に入れて−

 義務教育研修課 主任指導主事兼課長  生田 淳仁 
        指導主事  西村 研史 
        指導主事  乘松 宏美 
 情報教育研修課 主任指導主事兼課長  岩井 高士 
        指導主事  古林 達也 
        指導主事  奥田 健二 
   企画調査課 主任指導主事  増田 美佳子

 平成28年4月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行され、学校ではこれまでの指導・支援を合理的配慮の観点で捉えた取組が必要となり、児童生徒の障害の種類や程度、発達の段階による指導・支援方法を考えていくことが求められている。具体的な合理的配慮の提供内容は各学校に委ねられていることから、通常の学級に在籍する特別な支援が必要な児童生徒への合理的配慮の提供については、実践事例の収集・紹介とともに、実践研究等を通して成果を蓄積・普及させることが有効である。
 本研究では、特別支援教育においても今後一層の推進が求められているICTに着目し、ICT活用の実態と特別支援教育に関する教員の意識調査を行い、現状と課題を分析する。そして、実践協力校を依頼し、当該校と連携しながら合理的配慮の観点を踏まえた学習指導案を検討し、ICT活用の実践検証を行い、合理的配慮の提供に向けたICTの効果的な活用の在り方について、課題や今後の展望をまとめていく。

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インターネットを用いた教職員の遠隔研修の可能性について

 情報教育研修課 主任指導主事兼課長  岩井 高士 
   主任指導主事  波部  新 
    指導主事  古林 達也 
指導主事  山本 義史 
        指導主事  奥田 健二 

 近年、インターネットの急速な普及と通信インフラの整備によって、パソコン、スマートフォン、タブレット端末など様々なデバイスを使って、いつでもどこでもインターネットを介した動画等による情報を受信・発信できる環境が実現している。それらを効果的に活用して、教職員の研修機会の拡大を図る必要があると考え研究を行った。
 本研究は、3年計画で実施することとし、1年目に当たる平成28年度は、インターネットを用いた教職員研修の可能性や課題を把握するとともに、他の都道府県および指定都市の教育センター等におけるインターネットを用いた各種教職員研修の実施状況について調査した。また、国内の大学で行われているLMS(学習管理システム:Learning Management System)についても現状を把握、整理した上で、インターネットを用いて離れた場所を結んで実施する教職員研修の可能性について検証するために、実証実験を通して実施上の課題等について整理した。平成29年度以降は、実証実験をさらに行い、従来から当教育研修所に集合して実施してきた研修との組合せによる研修効果についても提案していく。

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「ひょうご教育アンケートシステム」の開発

−教職員の調査・集計業務効率化に向けて−

  管理部長  光川 安則 
 企画調査課 主任指導主事兼課長  村中 利章 
        指導主事  瀬尾 智宏 
指導主事  里  知純
  県政推進事務員  小薮 容子 
 情報教育研修課     指導主事  山本 義史 

 平成27年3月発表の「学校の総合マネジメント力の強化に関する調査研究」報告書によると、教員にとって「負担感率」が高いにもかかわらず、「改善策を講じている率」が低い項目に、「国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応」がある。これは、調査・集計業務に係る負担の大きさを表すとともに、学校単位での改善対応が困難であることを意味している。
 本研究では、学校現場で発生する小〜中規模の調査・集計業務に焦点を絞り、単純作業の繰り返しに陥りがちな業務の負担を軽減する「ひょうご教育アンケートシステム」を開発した。本システムは、Excelで作成した調査様式の回答欄に簡単な操作で色をつけ、ボタンを押すだけで自動集計に適した集計シート付きの調査様式を作成するHiYokoツールと、回答ファイルを格納したフォルダを指定し、ボタンを押すだけで自動的に回答データを積み上げて集計用ファイルを出力するTamaGoツールの2つからなる。本システムの導入により調査・集計業務を標準化することで、新たな費用負担なく、調査を実施する側にとっても、回答する側にとっても調査・集計にかかる業務改善を図ることができることを示す。

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自他の命を大切にする心を育む教育支援に向けて
自殺予防に生かせる教育プログラムの作成

   教務部長 心の教育総合センター 副 所 長  宮垣  覚
  企画調査課 心の教育総合センター 主任指導主事  増田 美佳子
義務教育研修課 心の教育総合センター 指導主事  寺戸 武志
高校教育研修課       主任指導主事  松本 久永
義務教育研修課 指導主事  福田 秀則

 本研究は、本格的な「自殺予防教育」につなぐことに特化した「下地づくりの教育」として活用できる授業プログラムの開発を目的とした。
 研究1として、文部科学省(2014)「子供に伝えたい自殺予防」の作成に関わった専門家や実際に自殺予防に関する授業等の取組を実践している教職員等への聞き取り調査と、種々の先行研究の結果をもとに、作成の要点を考察した。研究2として、研究1で得られた作成方針をもとに、本プログラムを作成した。作成は中学校及び高等学校の教員や、大学教員等で構成された委員会で行った。
 試作版を用いた研究実践校による試行実施、アンケートによるねらいの達成度等の分析を行った。その結果、「自殺予防教育」のねらいとなる「早期の問題認識(心の健康)」と「援助希求的態度」の向上が見られた。これらをもとに、中学校3STEP、高等学校3STEPの授業案で構成する「自殺予防に生かせる教育プログラム」が完成した。今後、当センターWebページにより提供する。

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