(((平成26年度 研究紀要 第125)))
 

いじめ未然防止プログラムの研究
−実態調査を踏まえた実践的プログラムの作成−

高校教育研修課  指導主事 寺戸 武志
義務教育研修課  指導主事 堀井 美佐

 本研究は、いじめ未然防止に効果的なプログラムの作成を目的とした。平成25年度は、
小・中・高等学校の教員並びに大学生、計28名を対象に聞き取り調査を実施し、いじめ未然防止に必要な児童生徒に育むべき11の資質をまとめた。平成26年度は、小・中・高等学校及び特別支援学校17校の協力のもと、教育実践や調査を行い、11の資質の向上に効果的な取組の検討を行った。これらを基に、「活動プログラム」と「研修プログラム」からなる「いじめ未然防止プログラム」を作成した。「活動プログラム」には授業案である「授業プラン」だけでなく、授業を行事や児童会活動、生徒会活動等と関連付けた総合的な取組である「特別活動プラン」を設けた。「研修プログラム」には、本プログラムの活用法などの研修と、校内研修の方法等に関する出前形式による研修を設けた。
 「いじめ未然防止プログラム」は、教育研修所webページに掲載し、学校が自由に閲覧及びダウンロードして活用できるものにする。

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道徳教育における教材の特性を生かした授業構成に関する研究
−「兵庫版道徳教育副読本」と「私たちの道徳」の2つの副読本の活用を通して−
  

義務教育研修課 主任指導主事兼課長 馬場  勝
    主任指導主事 足立 延也

「特別の教科 道徳」の教育課程上への位置付けや検定教科書の導入等の道徳教育改革は、いじめ問題の解決のための道徳教育の重要性の提言がその出発点であったが、その後の審議の過程において、学校における道徳教育、とりわけ「道徳の時間」の指導の在り方が大きく問われることとなった。
 道徳の教材をめぐっては、平成26年4月、文部科学省が「心のノート」を全面改訂した「私たちの道徳」を発刊し、全国の小・中学校児童生徒に配布した。本県では、平成23年3月に「兵庫版道徳教育副読本」を発刊し、県内公立小・中学校児童生徒に配布していることから、2種類の副読本の効果的な活用が平成27年度から道徳教育充実の鍵となると考える。
 本研究では、道徳の教材に焦点を当て、「兵庫版道徳教育副読本」と「私たちの道徳」の2つの副読本の教材の特性を分析し、「道徳の時間」での活用と、特別活動を例に学校の教育活動全体を通して行う道徳教育での活用について、それぞれの教科、領域の特質を明確にした授業構成の在り方を考えていく。

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児童生徒の思考力、判断力、表現力等を育む授業の在り方に関する研究
−言語活動の評価を通した授業改善−
 

義務教育研修課       指導主事 岩淺 克友希
      指導主事 早瀬  幸二

 現行の学習指導要領においては、児童生徒の思考力、判断力、表現力等を育む観点から、基礎的・基本的な知識及び技能の活用を図る学習活動を重視するとともに、言語に関する関心や理解を深め、言語に関する能力の育成を図る上で必要な言語環境を整え、児童生徒の言語活動を充実することが求められている。
 当所では、平成23年度から児童の思考力、判断力、表現力等を育む授業の在り方に関する研究を行ってきた。平成23、24年度研究では、アンケート調査や全国学力・学習状況調査の分析を通して、児童生徒の思考力、判断力、表現力等を育む授業の在り方について分析を行った。平成25年度は、2年間の研究を踏まえ、全国学力・学習状況調査結果の分析を通した各校における授業改善の方策を提案した。
  本研究では、1時間の授業のさらなる充実に向け、アンケート調査を通して言語活動の充実に関する課題を分析するとともに、言語活動の評価を通した授業改善の方策について、当所が実施している「国語科教育講座」及びたつの市立御津小学校との協同研究を通して実践・検証を図る。
             

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学校教育の場におけるビブリオバトルの教育的利用についての研究
−主体的な学習への仕掛けとして−

高校教育研修課     主任指導主事   泉村 靖治
    主任指導主事   青山 禎尚

 ビブリオバトルは、2007年に谷口忠大(現立命館大学准教授 ビブリオバトル普及委員会代表)が発案した「書評を媒介としたコミュニケーションの場づくり手法」である。ビブリオバトルは、「本を通して人を知る」ことがコミュニケーションの場づくりに、「人を通して本を知る」ことが読書推進に役立つ手法である。 課題を発見し解決するためには情報を収集し、整理・分析する力が必要であるが、その基盤となる読書経験や読書習慣が高校生に不足している現状がある。
 本研究では、兵庫県立太子高等学校総合学科の2年次において実施したビブリオバトルのアンケート調査を基に、ビブリオバトルの手法が読書への導きとなり、情報活用能力育成への橋渡しとなりうるかということについて検証した。また、授業での実践例を紹介し、学校におけるビブリオバトルの効果的な利用方法を探った。

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 クラウドコンピューティング技術を活用した情報資産管理の将来像に関する研究       

−県立学校における情報資産の安全な運用管理に向けて−

情報教育研修課 主任指導主事兼課長   武田 由哉
    主任指導主事   上月 通男
    主任指導主事   藤原 生也
       指導主事   山本 義史

 平成23年3月に東日本大震災が発生し、東北地方の太平洋沿岸部の学校は、大津波によって甚大な被害を受けた。その際、指導要録等の学校情報資産が数多く消失し、現在、そのバックアップの必要性が注目されている。本県においても、近い将来に発生が危惧される東南海・南海地震をはじめ、直下型地震や土砂災害などの自然災害に対する備えとして、学校情報資産の安全な運用管理システムの構築を進めることが急務である。
  本研究では、兵庫県教育情報ネットワーク(ゆずりはネット)を有効に活用して情報資産を安全に運用管理する手立てについて検討した。クラウド型校務支援システムを全県立学校に展開して、校務の効率化を図るとともに、学校情報資産をクラウドサーバで一元管理することで、電子データ化された情報資産を安全に運用管理することが可能となる。この実現に向けて、全国の先進的な取組をふまえながら本県における課題を明らかにして、運用可能なモデルを提案する。

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外国語活動の指導に関する研究

−外国語活動の単元を構成するためのコンテンツの開発−

    義務教育研修課  主任指導主事   山下 勝幸
        指導主事   井上 貴至
    高校教育研修課     指導主事   松本 久永

 平成23年の小学校学習指導要領の全面実施により、高学年で外国語活動が導入された。その2年後となる平成25年12月には、文部科学省の「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」が公表され、小・中・高等学校を通じた英語教育全体の抜本的充実を図ることが示された。小学校においては、中学年で週1〜2コマ程度の活動型を開始し、高学年では週3コマ程度の教科型を実施することが提案されるなど、教員の更なる指導力の向上が求められている。
 本研究では、これらの現状や教員の外国語活動における意識や取組状況を踏まえ、外国語活動における教員の指導力向上に向けた単元を構成するためのコンテンツを作成し、Webページ上に掲載することにより学校現場での活用を目指す。

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グローバル人材の育成に資するICT活用について

−タブレット端末を活用した教育の可能性−

    情報教育研修課 主任指導主事兼課長  武田 由哉
    指導主事  池内 晃二
指導主事  山本 哲也
指導主事  山本 義史
    高校教育研修課 指導主事  足立 禅啓

 世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持ったグローバル人材の育成が不可欠である。また、情報社会の急速な進展に伴い、ICTを活用した21世紀にふさわしい学校づくりが求められている。
  本県においても、ここ数年、高等学校に段階的にタブレット端末が導入されつつある。今後ますます進展していくと予測されるグローバル社会の中で、生徒がこれらの情報端末や情報通信ネットワーク等の情報手段を適切かつ実践的・主体的に活用することは、グローバル人材を育成する上で大きな可能性が期待される。
  本研究では、高等学校英語科での授業実践を通して、グローバル人材育成のためのICT活用の可能性を検証するとともに、タブレット端末活用事例を提案することとする。なお、本研究は2年間で実施し、1年目の本年度は、我が国のグローバル人材育成における課題と英語教育の重要性を明確にした上で、生徒の英語力を高めるための効果的なICTの活用例を提示した。

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指導改善研修の効果と研修プログラムの充実に向けた考察

−職場復帰した教員の追跡調査より−

    研修企画課 主任指導主事 岩井 高士
    教職員支援担当指導員 森野 正路

 本県では平成16年度より「指導力向上を要する教員に係るフォローアップシステム」を実施し、「指導力向上を要する教員」に認定された教員に対し、当所にて指導改善研修を行ってきた。以来、平成25年度までの10年間に24名が指導改善研修を受講し職種変更を含め11名が職場復帰している。本年度、実施から11年目にあたり当研修プログラムの更なる充実を図ることを目的に、職場復帰した教員及び所属の管理職を対象に追跡調査を実施し、調査結果及び調査対象者の研修受講時における各種評価等の分析を基に研修プログラムの検証を行った。検証結果からコミュニケーション力を高める研修の充実と復帰後も含めた所属校での支援の充実がより研修効果を高め、円滑な職場復帰につながることが見えてきた。
  本研究では、検証結果から得られた研修の充実に向けた視点を基に研修内容や支援の在り方について考察し、指導改善プログラムの充実及び円滑な復帰と復帰した教員の自律的な職能成長につながる支援体制の在り方について提案する。

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調査統計業務の改善に向けた取組
−大規模な調査統計における業務改善をめざして−

   企画調査課 主任指導主事 村中 利章
    指導主事 近藤 直樹

  調査統計業務は、調査依頼、回答の回収、提出状況の把握、集計、分析の各工程がある。調査対象数、調査項目数が増えると、その業務に多くの時間を費やす。一方で回答機関においても、多くの調査が重なると、回答のためのデータ集約、回答期限の把握等に多くの時間を費やすことになる。
  そこで、調査手法を標準化するとともに既存のシステムの活用方法を見直すことで、調査統計に関わる業務改善を図ることをめざした。
 本研究では、複数の組織間で調査を実施する際にポイントとなる、@情報の安全管理、
A運用コストの削減、B利便性の向上の3点を、重点目標として、兵庫県電子申請共同運営システム(簡易申請システム)を活用した調査統計システムの構築に向けて取り組んだ。

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