(((平成23年度 研究紀要 第122)))
 
児童の思考力、判断力、表現力等をはぐくむ授業の在り方に関する研究

−言語活動の充実を図る視点から−

義務教育研修課     主任指導主事  道前 弘志
         指導主事  早瀬 幸二
 

  近年の国内外の学力調査の結果から、子どもたちには知識・技能の活用など思考力、判断力、表現力等に課題があることが明らかになった。これらの現状や課題等を踏まえ、平成20年3月に告示された小学校学習指導要領では、各教科等において思考力、判断力、表現力等を育成する観点から、基礎的・基本的な知識及び技能の活用を図る学習活動を重視するとともに、言語環境を整え、言語活動の充実を図ることが示された。

 言語活動は、これまでの授業においても行われてきたが、思考力、判断力、表現力等を育むためには、記録、要約、説明、論述といった言語活動を単元の中に意図的に位置付けて、単元及び授業の構想をしていくことが必要である。

 本研究では、当所で実施した研修講座をとおして、小学校教員の言語活動に関する実践状況や意識を調査し、その結果を踏まえて、児童の思考力、判断力、表現力等の育成に向けた、言語活動の効果的な取り入れ方について具体的な視点を示した。

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児童生徒の連続的な学びにつなげる小中連携の在り方

中1ギャップの解消に向けて−

義務教育研修課

主任指導主事 木村 明宏
                指導主事 上田 純子
 

 小学校から中学校に進学し、学習量の増加に対応することや学習と部活動を両立すること等が求められる中で、新たな人間関係に適合できずにストレスを感じる生徒の増加傾向が懸念されている。そうした状況は、「中1ギャップ」と表現され、その解消が課題となっている。中央教育審議会は、初等中等教育分科会の審議を経て「義務教育に係る諸制度の在り方について」において、小、中学校の接続を改善する観点から、小中の一貫教育や、カリキュラムを中心とした連携の強化を図るべきとの方向性を示唆している。

 小学校から中学校への円滑な接続や学力の向上を図るための取組の一つとして、本県では、小学校5・6年生において、「教科担任制」と「少人数学習集団の編成」を組み合わせた「兵庫型教科担任制」が、平成24年度全県実施をめざして段階的に実施されている。

 本研究では、アンケート調査をとおして、本県における小中連携の取組の現状と教員の意識を明らかにし、今後の望ましい小中連携に向けた方策を提案した。

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高等学校における主幹教諭の役割

                                 高校教育研修課

   指導主事  

 坂東 修司

 本県では平成19年度から円滑な学校運営の推進等を図るために主幹教諭を置いており、主幹教諭は、校長から発令された校務の責任者としての業務を担うこととなっている。本研究では、県内の高等学校において各主幹教諭に発令された校務の状況や具体的な取組とその成果等について調査した。教頭及び主幹教諭へのアンケート調査からは、主幹教諭が管理職と教員とのパイプ役となることや、分掌間や学年間の横の連携を図ることで、校長の学校経営方針に沿った校務の運営がスムーズに進むようになったという成果がうかがわれた。また、主幹教諭が若手教員の育成や支援に貢献している学校も多い。

 一方、今後主幹教諭に求められる役割について、いくつかの点において教頭と主幹教諭で意識の違いも見られた。そこで、本研究ではこれらの調査結果とともに、学校を活性化させるための主幹教諭の役割や、今後さらに学校の組織力を高めるための取組について考察した。

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ICTを活用した授業の推進を促す校内研修の在り方について

−教員のICT活用指導力の向上をめざして−

 情報教育研修課 主任指導主事兼課長  西村 直己
             

     主任指導主事

 三原 智雄

 教員のICT活用指導力の向上は、政府の重要な政策課題として位置づけられ、「IT新改革戦略」(平成13年1月IT戦略本部決定)において、学校におけるICT環境の整備を一層進めるとともに、「ICTを活用した学力向上等のための効果的な授業や、学ぶ意欲を持った子どもたちがICTを活用して効果的に学習できる環境」を実現するため「全ての教員のICT活用指導力を向上させる」ことが目標とされている。そのためには、いつでもどこでも使いたいときに使えるICT環境の整備を進めると同時に、活用を促進するための校内体制の充実や校内研修等の活性化が喫緊の課題である。

 そこで、本研究では、ICTを活用した授業を目指す効果的な校内研修の在り方について考察し、各学校で実践ができるような研修の要件を提案することをねらいとする。この目的を達成するために、まず、「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」(文部科学省)の結果や研修の受講状況を分析する。併せて、当所で実施した研修講座受講者の実践事例を基に、効果的な校内研修の要件を考察した。

  

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緊急時に対応した学校・家庭・地域間の情報管理に関する研究(中間報告)

−ネットワークを活用した効果的な情報発信及び情報管理の実態−     

教務部  部長    小山  智久    
企画調査課  課長  北川 真一郎

 主任指導主事 

 日下部 誠
義務教育研修課  課長   山田  潔     指導主事  上田 純子
高校教育研修課  課長  高橋 信之  主任指導主事  岩井 高士
情報教育研修課  課長  西村  直己  主任指導主事   坂本 泰三

  平成21年5月、本県で新型インフルエンザの発生が確認された。その際、学校は、全県的な一斉休業となり、個々の児童生徒の体調を把握したり、様々な情報を発信したりする必要性に迫られ、従来からの電話連絡だけでは困難をきたした。こうした状況を踏まえ、教育情報ネットワークの活用が、学校と家庭の双方向の情報伝達に効果的であることが、兵庫県立教育研修所(当所)の研究(2010)で検証された。また、平成23年3月には、東日本大震災が起こり、多くの学校が甚大な被害を受けた。大津波により学校の情報資産が数多く散逸するとともに、被災直後の学校・家庭間の情報伝達では困難をきたした。学校は、様々な緊急事態を想定し備えておくことが必要であり、その意味で緊急時における効果的な情報発信及び情報管理の方策を探り、今後に備えておくことは重要かつ必要不可欠な課題と考えられる。

   そこで、本研究では、今後起こり得る重大な緊急時に対応できるネットワークを活用した情報発信及び情報管理のモデル開発に向け、現状の把握と考察を進め、より簡単で確実な情報発信及び情報管理を行うための条件や要素について整理した。

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