(((平成20年度 研究紀要 第119集)))
 
研修の事業評価システムの構築に関する研究
−研修の有効性を評価する−
管理部長   臼井 正行 教務部長 水田 時男
総務課 課長  及川 秀秀 主査 上月  靖
企画調査課 課長  岡田  学 指導主事 三谷  治
      指導主事 稲次 一彦
義務教育研修課 課長 浅井 憲一 主任指導主事 志方 正典
高校教育研修課 課長 越田 佳孝 主任指導主事  松本 修身
情報教育研修課 課長 難波 宏司 指導主事 河合 良成

 社会の急激な変化に伴い教育を取り巻く課題が多様化するなか、学校教育に対して質の高い教育を求める声が高まっている。とりわけ教職員の資質能力の向上に対する関心は高く、教職員の研修に携わる機関としては、これまで以上に教職員の能力、適性に応じた多様な研修を準備するとともに、研修事業の評価・検証を行い、必要な改善・充実を図ることで、より効果的な研修を提供する必要がある。
 本研究は、教職員としての資質能力と実践的指導力の向上を支援する当所の研修事業のさらなる充実のため、受講者の理解度や習熟度の変容及び研修内容の実践化状況や波及効果を視野にいれた研修の有効性を評価する効果測定の在り方を追究するものであり、平成18年度より3年計画で取り組んできた。
 本年度は、昨年度までの研究の成果を踏まえ、アンケートの改善、評価基準の策定、「評価分析シート」の作成、「事業評価PDCAモデル」の試行と検証を行った。これらの結果を受け、3カ年にわたる研究のまとめとして、講座の運営や編成作業にフィードバックできる研修事業評価システムの案を提示する。

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「若い教員」の研修ニーズを重視した研修講座の在り方について
教職経験3年目の「若い教員」を対象にしたアンケート調査の結果をもとに

  義務教育研修課 課長 浅井 憲一       
          主任指導主事 志方 正典   主任指導主事 萩原 正信
             指導主事 花畑 一吉      指導主事 道前 弘志
             指導主事 市橋 真奈美    

 教員の大量退職に伴って、近年、兵庫県内の公立小・中・特別支援学校に新しく採用される教員(以下、「初任者」とする)の数が大幅に増加し、各校において教職経験年数が5年未満の比較的若い教員(以下、「若い教員」とする)の占める割合が高くなってきている。教育を取り巻く環境が大きく変化する中、学校全体としての教育力を高めていくためには、それら「若い教員」の指導力向上は喫緊の課題となっている。
 当所では、平成18年度、平成19年度の2年間、所属校における「初任者」の自主性、自発性を重視した研修の在り方と指導教員や同僚教員による協同的で系統的、組織的な研修の在り方について研究を行った。
 本稿では、過去2年間の研究の成果を踏まえ、教職経験3年目の「若い教員」を対象にしたアンケート調査によって、教科指導や生徒指導に関する悩みが初任時と比べてどのように変化したのか、また、自らの指導力向上ためにどのような研修や支援を望んでいるのかを明らかにし、当所における「若い教員」の指導力向上のための研修講座が、彼らの現状や研修ニーズに即したものとなっているかどうかについて検証する。

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高等学校数学科教育における教材・教具づくりに関する一考察
−県下教員へのアンケート調査と数学科教育研修講座における取組をとおして−

高校教育研修課 主任指導主事 松本 修身

  数学科の教科指導において、生徒が苦手とする単元については、生徒の興味・関心を高めるために、教師が手づくりの教材・教具を用いて授業を行うことが有効であると言われている。小・中学校においては教師の手づくり教材・教具を用いた算数・数学の授業が盛んに行われ、その研究成果について県の数学科研究大会等で実践発表が行われているところではあるが、高等学校ではまだまだ遅れているのが現状である。
 そこで本稿では、高等学校数学科の授業で、教師の手づくり教材・教具が「どの場面で」「どのようなものを」「どのような方法で」使用され、生徒の数学に関する興味・関心を高め、学習意欲の向上を図っているかについて、当研修所で2回にわたり実施した数学科教育研修講座の研修内容と、第1回と第2回の研修日程の間に各受講者が勤務校において行った授業実践結果を分析するとともに、兵庫県下の全県立高等学校(県立中等教育学校を含む)で数学を担当する主幹教諭、教諭に対する手づくり教材・教具の作成状況、授業への活用状況に関する実態調査と、数学科教育研修講座受講者の勤務校において、生徒が苦手とする単元等に関する意識調査の結果に基づき、教師の手づくり教材・教具の必要性を考察し、課題の改善、生徒の興味・関心を高めるための教材・教具の作成等に関する一つの視点を提示することとする。

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ミドルリーダー育成のための効果的な研修の在り方について
−「メタ研修」の手法を利用して−

     高校教育研修課            指導主事 高橋 信之

 公開授業や授業研究会等の効果的な校内研修の実施をとおして、授業改善に対する学校全体の意識の向上を図ることが求められている。そのためには、公開された授業をもとに、授業者と参観者が共に授業改善の視点を得られるような授業研究会を組織的に企画・運営していくミドルリーダーの役割が重要である。
 平成20年度 高等学校教科研修リーダー研究講座」では、平成19年度の研究の成果を具体化し、授業評価を生かした授業改善の知識やスキルを身に付けるための研修を実施するとともに、県立高等学校を会場に設定して、当該校の受講者が企画・運営した実際の校内研修に他の受講者が参加することにより研修そのものを対象として行う研修、すなわち「メタ研修」の手法を利用した研修を実施した。
 本研究では、平成20年度 高等学校教科研修リーダー研究講座」において、授業研究を組織的に推進するミドルリーダーとしての資質・能力の向上を図るために実施した「メタ研修」の手法を利用した研修の有効性について研究し、ミドルリーダー育成のための効果的な研修の在り方を提案する。

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ストレスマネジメント教育の手法を生かした「いじめ防止授業」に関する研究

    高校教育研修課           指導主事 黒河内 雅典

  現在、「いじめ」により児童生徒の命に関わる深刻な状況が起こっており、「いじめ防止教育」の推進が喫緊の課題である。「いじめ防止教育」については、特に小・中学校の道徳の授業などで取り上げられているが、その具体的な指導方法は、ある場面を記した文章や絵などを読んだり見たりしながら、感じたことについて友人同士で話し合うといった形式のものが多い。その他、いじめられる側やいじめる側に分かれてロールプレイング(役割演技)を行うなど、体験を中心とした指導方法も実践されているが、いじめられる側やいじめる側が抱えているストレスに着目し、そのストレスを解消していくことによって「いじめ」の防止を図る試みについては十分ではない。
 そこで本研究では、まずストレスマネジメント教育の手法を生かした「いじめ防止教育」の実践方法について研究し、その結果に基づいて実施した「ストレスマネジメント教育研修講座」の受講者を対象に「いじめの現状」や「いじめへの具体的な対応」、「いじめへの効果的であった対応」について行った調査結果をもとに、ストレスマネジメント教育の手法を生かした「いじめ防止授業」の実施上の留意点を提示することとする。

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学校評価を効果的に進めるための教員研修の在り方                 −高等学校 学校評価研修講座の取組から−

            高校教育研修課

  指導主事  速水 多佳子

  現在、兵庫県下の高等学校の学校自己評価の実施率は100%であり、学校評価が定着しつつあるが、学校評価が評価のための評価になっている学校が少なくない現状がある。国においては、学校評価の一層の充実を図るため、平成19年に学校教育法、学校教育法施行規則がそれぞれ一部改正され、学校の自己評価、学校関係者評価の実施、評価結果の公表及び評価結果の設置者への報告に関する規定が新たに整えられた。特に本県では、保護者や地域の方々の協力を得ることが必要となる学校関係者評価について、本年度から新たに実施することとなった。そのため、各校では学校関係者評価委員会を年に数回実施することとなり、その進め方等を模索しているところである。
本稿では、「高等学校 学校評価研修講座」の取組をもとに、その成果と課題を整理して、学校関係者評価委員会の進め方等も含めた、学校評価を効果的に進めるための、研修講座の在り方について提案する。
 

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携帯情報端末の教育利用に関する研究                         −授業でのICT活用推進のために−

情報教育研修課 課長 難波 宏司    指導主事 河合 良成
         指導主事 佐藤 勝彦    指導主事 武田 由哉
         指導主事 坂本 泰三

  児童生徒の情報活用能力の育成及び各教科等におけるICTを活用した確かな学力の育成を図るため、学校のICT環境の整備や教員のICT指導力の向上などを目指した事業が進められているが、整備率や指導力は全般的には伸びてきているものの、普通教室での日常的な授業における活用は遅れており、その原因として機器の台数不足や準備の煩雑さなどの課題があげられている。
 本研究は、技術の進歩により小型軽量化、高機能化してきた携帯情報端末を活用することで、それらの解決を目指すものである。携帯情報端末の機能を分析し、パーソナルコンピュータの代替として教材提示等に利用する方法を探る。また、携帯情報端末を利用した普通教室や屋外等における新たな学習形態を提案し、研修講座等でのモニター調査により有効性の検討を行う。そして、携帯情報端末の教育利用の可能性を示すとともに、有効活用に向けた課題を提起する。

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学校教育相談への効果的な支援の在り方に関する研究               −平成20年度 「小・中・高等学校 学校教育相談実践講座」をとおして−

   心の教育総合センター   指導主事 市橋 真奈美

 近年、不登校児童生徒数の増加、暴力行為の発生件数やいじめの認知件数も多数に上るなど、児童生徒にかかわる問題の多様化・深刻化のため、教育相談の充実が求められている。学校教育相談の充実のためには、学校教育相談を組織的に行うための校内体制を整備することが重要であり、その校内体制の連絡・調整にあたるコーディネーター役の教員の育成が欠かせない。
そこで、本研究は当所の「学校教育相談実践講座」をとおして、学校教育相談への効果的な支援の在り方について考察することを目的とし、受講者を対象に「学校教育相談についての調査」を実施し、受講者の勤務校の教育相談の状況を継続的に把握することにより、「学校教育相談実践講座」の研修プログラムが受講者の勤務校の教育相談の充実に効果があったかどうかを検証する。さらに、受講者がリーダーとなって計画・実施する校内研修に参加した教員の校内研修への評価内容の検討をとおして、学校教育相談への効果的な支援方法を明らかにする。

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