(((平成19年度 研究紀要 第118集)))
 
義務教育諸学校における「初任者」の指導力向上に関する研究
 
義務教育研修課 主任指導主事兼課長 岡本 育夫
  主任指導主事 澤田  薫 主任指導主事 浅井 憲一
  指導主事 田畑 吉三 指導主事 花畑 一吉
  指導主事 渡  信雄 指導主事 市橋真奈美

 いわゆる「団塊の世代」の教員の大量退職に伴って、兵庫県内の公立小・中・特別支援学校(神戸市立を除く)の教員として採用されて1年に満たない者(以下、「初任者」という)の大幅な増加が予想される。「初任者」を含む若い教員の増加によって、学校の職員構成の若返りと新たな活力の導入が期待される一方で、指導経験の浅い若い教員の増加に伴う学校の総体的な指導力の低下が懸念される。そのような状況の中で、「初任者」の指導力の向上は、現在の学校教育における喫緊の課題の一つであると言える。
 本稿では、平成19年度の「初任者」のうち、当所の研修講座を受講した 618名を対象に実施した指導力向上に関するアンケート調査の結果を基に、「初任者」の抱える教科指導や生徒指導における悩みや、「初任者」の自主性、自発性に基づいた指導力向上意欲育成のための課題について考察するとともに、勤務校における「初任者」研修の実態について聞き取り調査を実施し、指導教員やその他の同僚教員による協同的で系統的、組織的な研修の在り方について提起する。

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学校における組織的な授業研究の推進に関する研究
−授業改善リーダーによるワークショップ型授業検討会の事例をとおして−

      義務教育研修課 指導主事 渡  信雄

 平成17・18年度の三教育機関共同研究において開発した研修プログラムを実施することで、受講者の授業改善リーダーとしてのマネジメント能力の育成と自覚の醸成に関して、一定の成果をあげることができた。一方、学校が組織として授業研究を推進していく際、個々の教員の参画意識を醸成し日常的な授業検討会の充実を図ること及び、授業を学校教育目標や当該単元・時間の目標に照らして評価し次の授業に生かしていくことを個々の教員がより一層意識して取り組んでいかなければならないことが課題として残った。
 本稿では、近年、会議の一形態として意義や効果が注目されているワークショップ型研修を採り入れた授業検討会の実施が、上記2つの課題解決と校内授業研究の活性化に対して有効に働くのかどうかについて、平成18・19年度に当所で実施した、「小学校 授業改善リーダー研修講座」受講者の勤務校で実施したワークショップ型研修を採り入れた授業検討会の事例と、当該学校でこれらの授業検討会を経験した教員を対象に行った質問紙調査の記述内容とを併せて分析することで検証した。

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「指導に生かす評価」の充実をめざして
−高等学校 数学科教育研究講座2年間の取組から−

高校教育研修課 主任指導主事 松本 修身
  指導主事 岩井 高士
企画調査課 指導主事 河合 良成

 当所では、高等学校数学科における観点別の評価規準の作成や評価の観点ごとの総括の在り方について研究するとともに、授業改善に向けた実践的指導力の向上を図ることを目的として、平成18年度から2年間「高等学校 数学科教育研究講座」を開設した。当研究講座では、高等学校及び特別支援学校(高等部)で数学を担当する教員を対象に、当所における講義、協議、演習、発表などの研修と、受講者の勤務校における実践との繰り返しの中で、平成18年度は「数学T」、平成19年度は「数学U」の評価規準の作成、その改善の手法や評価の観点ごとの総括の在り方について、研究を深めることをねらいとして年3回延べ4日間の研修を実施した。
 本稿では、「高等学校 数学科教育研究講座」における2年間の取組の成果と課題を明らかにするとともに、日々の授業を改善していく「指導に生かす評価」の充実をめざすための一方策として、「数学U」の評価規準の作成方法とその改善を図る手順を提示する。 

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校内授業研究を組織的に推進するミドルリーダーの育成を
目指した研修プログラムについて

高校教育研修課 主任指導主事兼課長 越田 佳孝
  指導主事 高橋 信之
  指導主事 岩井 高士

 生徒の学ぶ意欲を高め、確かな学力をはぐくむ授業づくりが今求められているなか、生徒の学力向上に資する教育実践の質を高めるためには、公開授業や授業研究会等の校内における研修、すなわち校内授業研究を実施することが重要であり、そのためには、効果的な授業研究を企画・運営し、授業改善を組織的に推進するミドルリーダーを育成する必要がある。
 そこで当所では、平成18年度から、効果的な校内授業研究を企画運営し授業改善を組織的に推進するミドルリーダーを育成するために「高等学校教科研修リーダー研究講座」を開設した。平成19年度の講座では、授業改善の視点を校内で共有することができる授業研究の在り方及びそこでミドルリーダーの果たすべき役割について研究した。以上の結果から、生徒の学ぶ意欲を高め、確かな学力をはぐくむ授業づくりに向けて、校内授業研究を組織的に推進するミドルリーダーとしての資質・能力の育成を目指した研修プログラムを作成する上で、その内容に取り入れれば効果的であると考えられる3つの要素を提案する。

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学校ホームページによる情報発信の方法に関する研究
−開かれた学校づくりに寄与するために−

情報教育研修課 主任指導主事兼課長 難波 宏司
  指導主事 佐藤 勝彦
  指導主事 武田 由哉
  指導主事 米谷  繁

  開かれた学校づくりのために、学校ホームページによる情報発信の充実が求められている。学校の情報環境整備の進展に伴い、相当数の学校がホームページを開設するようになった。学校ホームページを活用して積極的に情報発信している学校がある一方で、ホームページを開設してはいるものの、更新頻度が低く古い情報が放置されている学校も少なくない。
 本研究では、県内の公立学校のホームページを対象に、学校ホームページの掲載内容や運営状況を調査し、開かれた学校づくりに寄与するために、学校ホームページが掲載すべき内容や運用方法を改善するための方策を示す。

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研修の事業評価システムの構築に関する研究(中間報告U)
−研修の有効性を評価する−

管理部長   臼井 正行 教務部長 藤井 雅英
企画調査課 課長  岡田  学 指導主事 河合 良成
      指導主事 道前 弘志
義務教育研修課 課長 岡本 育夫 主任指導主事 浅井 憲一
高校教育研修課 課長 越田 佳孝 指導主事  長谷川 宏
情報教育研修課 課長 難波 宏司 指導主事 野口 博史

  本研究は、教職員としての資質能力と実践的指導力の向上を支援する当所の研修事業の充実を目的とし、受講者の変容及び研修内容の実践化状況や波及効果を視野にいれた研修の有効性を評価する効果測定の在り方を追究するものであり、効果測定が有効に機能する研修の事業評価システムの構築を目指すものである。
 研究は3年計画とし、研究1年目の平成18年度は、当所の研修事業の現状と課題の分析を行い、研修事業評価の意義を明らかにした上で、研修講座における到達目標の達成状況を測定する手法を取り入れた「研修講座の事業評価PDCAモデル(以下「PDCAモデル」とする)」を策定した。
 本年度は、「PDCAモデル」の改善をめざし、一部の研修講座において試行的に研修の「ねらい」に即した受講者の変容等から研修効果を測定し、その結果の分析を行った。研修効果の測定は、研修の前後における受講者の理解度やスキルの変容に加えて、研修の有効性及び実践化への意欲をみる事前事後アンケートと、受講後一定の期間をおいて研修内容の実践化状況や波及効果をみる追跡アンケートによって実施し、効果測定の有効性と課題についてまとめ、中間報告Uとした。
 来年度は、講座の「ねらい」に即した研修効果の分析及び検証をとおして、講座編成作業や、研修講座の目的及び到達目標、運営面への有効なフィードバックができる効果測定の簡便な手法を確立することで、継続的に機能する研修事業評価システムの構築をめざす。

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