校長先生の授業 5月6日までの約束⑤

みなさん、元気ですか。臨時休業が5月31日まで延長になりました。もう少しの辛抱です。そろそろ冬は春となり、真っ暗な夜は明け、トンネルも出口が見えてきています。具体的な目標を持って、チャレンジしていきましょう。
次回は連休明けになりますが、GW中に残り5冊(もう1冊は読んだので残り4冊です)は必ず読み切ります。みんなの挑戦も頑張ってください。
では、5回目のミニ授業です。

今回は「キリンビール 高知支店の奇跡」(著者:田村 潤  出版社:講談社)です。

 著者の田村潤(たむら じゅん)さんは、キリンビールの副社長を務められました。高知支店の支店長時代の奇跡のような出来事を中心に述べられています。当時の高知支店は、全国でも売り上げは苦戦続きで、一部の人は「もう終わったな」という声もあったそうです。しかし、そこから愚直(ぐちょく)に取り組んだ結果、高知県では他社を抜いて売り上げNO,1になりました。また、高知支店が前年度比割合で全国1位になりました。その手法はその後田村さんが、四国、東海、そして全国の営業本部長になっても輝きを増し、次々と売上増加につなげていきました。
 私が一番心に残っている田村さんの言葉は、次の言葉です。「自分のためにではなく、高知の方に美味しいビールを飲んでいただき喜んでいただくこと。途中からこのことだけに集中したことが、目に見えない力の後押しを受けたのではないかと思います。」なんかいいですよね。心が伝わってきた気がします。そのために大事にしていたのは徹底した現場主義。こんなエピソードもありました。愛媛県で売れなかったときに、Mさんというキリンビールの営業マンの人が、別のビール会社の問屋さんに行き、「何でも手伝います」と言って一日中配送のトラックに乗って、他社のビールや日本酒の積み卸しなどをやったそうです。すると一日中一緒にお昼もともにすると、キリンビールの色んなことを話したり、さらにご家族とも仲良くなっていったりしました。「これからはキリンも売ろうかぁ」と言うことにもなっていったそうです。Mさんも最初はこうなることを思って配送のお手伝いをしたわけでなく、これまでの常識にとらわれることなく無我夢中で考え行動したことが結果につながりました。現場こそ一番ということですね。
 もう一つ本書で印象に残ったことは、結果が出ることでみんなが喜び、自信を持って仕事に打ち込んでいるシーンが度々描かれています。ある花見シーズンで、昨年は2割だけがキリンビールの空き缶だったのが、今年は5割がキリンビールの空き缶になっていたそうです。それを見たその時の支店のメンバーたちの顔は、自信にあふれ、誇りに満ち、私は同じチームの一人である幸運を感じたと述べられています。結果が人を変え自信に満ちあふれた姿は、我々教員も色んな生徒たちに今までたくさん教えてもらいました。
 さて、今なかなか思った通りの生活ができない状況にあります。必ず近いうちに日常の高校生活が少しずつかもしれませんが戻ってきます。その時こそ、田村さんのように心を大事にして、徹底して行動し、結果を出していく力強い生き方を目指していきましょう。今日の授業はこれで終わります。


  

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