作品設定

『神代』と呼ばれた時代。万物の始まりの伝説。天の天原におわす天日神は、水だけだった地上に光り輝く島を創造し、『人間』を創った。そして、八百万の神々をその島に遣わし、人間と共存させた。神々の力を以て、島は繁栄した。しかし、神々と人間には決定的な違いがあった。人間は死ぬのだ。神々に死はやってこない。神々は『死』というものを知らなかった。死者の魂を鎮める術も・・・。そんなとき、闇を支配する神・闇(ね)の神が、死者の魂を操り、島を支配しようと目論んだ。闇は決して不必要なものではない。しかし、他の神々は闇を忌み嫌った。闇の神はそんな神々を恨み、その光を羨んだ。死者の魂は闇と一体となり、島全体を覆い尽くそうとした。が、そのとき、父なる神・天日神が降臨され、御劔を以て、闇の神を地の底、黄泉原に封印した。人々は、闇の神を『黄泉闇神』と呼び、恐れるようになった。天日神は、これからは死者の魂を導き、新たな生を与えることを約束し、八百万の神々と共に天原へと戻って行かれた。地上を人間に託して・・・。 今は『神代』と呼ばれた時代から数百年経った古代日本。人々は、地上を光ヶ原と呼び、天日神を信仰している。中央都には大神殿があり、天日神を祀っている。それぞれの村にも、神殿があり、天巫女という巫女が仕えている。 光ヶ原の政治の中枢部は大神殿。天日巫女と呼ばれる巫女だけが天日神の御声を聞くことができるとされ、、その託宣により、政治が執り行われている。実際に政治に携わっているのは、大神殿の護り役老神主と、その下の神主衆と呼ばれる五人組。その他、神殿外部の有力豪族、地方神殿の有力な神主長。十三になると、男子は神主見習い、女子は天巫女となれる。しかし、かなりの難関試験がある。選ばれても、修行に耐えきれず辞める者もいる。 民は稲作など農業で生活を立て、実りの季節には大神殿に米を納める。十八になった男で、難関の徴兵試験に受かった者は、大神殿を守る神兵として仕える。これは、かなりの名誉。大神殿の最高権力者は天日巫女だが、実際は老神主日良哉。神主衆や地方の神主長たちは、これを快く思っていない。神主衆のトップ、嵯峨は、密かに日良哉の失脚を画策している。しかし、同じく神主衆の邑辺と久貴は、信仰心の薄い嵯峨に反感を持っている。光ヶ原は、少しずつ、しかし確実に秩序を失いつつある。そして、封印された入り口が、奇妙な呼吸を始める・・・。


プロフィール(?)
莉央 中央都から遠く離れた辺境の地、阿瑚の里に住んでいる。16歳。父親は、莉央が小さい頃に亡くなっていて、母親と二人で暮らしていた。母子仲は、とてもよい。すっきりとした目鼻立ちで、瑠璃色の瞳が印象的。ほっそりとしていて、やや頼りなげな感じもするが、負けず嫌いで男の子とよくケンカをしては勝つ。明るい性格で、里の娘の中心的存在。少しかっとなって突っ走りやすいところもある。実は、天日神が創りし神の子、琉莉夜の分身。目覚めてはいないが、神力を秘めている。
寧禰 莉央より1年早く大神殿に仕えている。15歳。父親は政治的実力者。父の命令で天巫女になった。母親似のおっとりとした性格。(ちょっと天然。)ぼんやりしているようだが、いざという時頼りになり、機転が利く。突っ走りやすい莉央を止めるのも寧禰の役目。髪の毛が少し茶色かかっているのが悩み。瞳の色も薄い茶。
トキ 神主見習いの少年。18歳。幼い頃、両親を戦乱で亡くし、神主の一人に拾われて大神殿で育つ。12歳の時、養父の勧めで神主見習いになった。長身、細身。容姿端麗で、神殿の巫女や侍女たちの憧れ。しかし、本人は全く関心無し。右肩に、戦乱の時負ったらしい傷跡がある。髪の色は闇を思わせる黒。同じく黒い瞳は、冷たい印象。養父の死の真相を探っている。
琉莉夜 現天日巫女。天地創造した神、天日神が黄泉闇神を完全消滅させるために、自らの力を分けた神の子。その名の通り瑠璃色の瞳に夜のような漆黒の髪を持つ少女。16歳の少女の姿。強大な神の力を制御するための御道具『天日鏡』を奪われ、力を制御できなくなり、氷に身を拘束されている。そのため、神殿にいる天日巫女は虚像。
日良哉 現老神主。68歳。己の利を欲するばかりに、黄泉闇神に心を侵されてしまう。
侑岐
(ゆき)
黄泉闇神の刺客。男。黄泉闇神に導かれた死者。両目が見えない。死んだときは20歳。黄泉闇神に、絶対的な忠誠をたてている。
時矢 トキの養父。大神殿の神主。名を忘れていたトキに、名を与える。穏やかな性格で、暖かくトキを見守った。トキが15歳の時、死去。しかし、死因は不明。
嵯峨 神主衆のリーダー的存在。53歳。かなりのやり手で、日良哉の失脚を画策する。信仰心が薄い。巫女たちの存在をよく思っておらず、莉央にも冷たい。
邑辺
(むらべ)
神主衆の一人。最年長、55歳。聡明。信仰心の薄い嵯峨に反感を持つ。
佐久路
(さくじ)
神主衆の一人。48歳。日良哉派。
豊衣
(とよえ)
神主衆の一人。45歳。日良哉派。
久貴
(ひさき)
神主衆の一人。最年少、40歳。邑辺派。
春姫 天日鏡を盗んだ者。黄泉闇神を父と慕う少女。外見は大変愛らしいが、内面は、かなり生意気で少女らしくない。元大神殿の天巫女。14歳。
小夜 莉央の母親。莉央を何よりも愛し、慈しんだ。

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