風が冬の東京の空を濁らす。
むかしむかし、今から2000年くらいまえ、日本にも都市があったそうです。
教科書には載っていません。載る価値がないからです。
その都市は2000年くらい栄えたのち、ほろびてしまったのです。
なぜでしょう。
都会の喧噪に巻き込まれているあの赫髪の少女は冷えきった場所へ逃げていく。
おしえます。
季節は真冬でした。
その都市の天井がある日、どでかい目ん玉の怪物におおわれました。
にんげんの目にはその怪物の全貌がみえなかったそうです。
目から出る炎で都市を赫く染めました。
あとで聞いた話ですけど、その怪物には悪気はなかったそうです。
都市ビルの屋上に誰かが立ちました。
それはにんげんではありませんでした。
その誰かが怪物と恋におちたそうです。
ちょうど彼らは見つめ合ったそうです。
都市が赫に染められた瞬間でした。
夕暮れ時間でした。
違う言い伝えによると、その怪物は、太陽のようだったそうです。
夕日と太陽。
どうやら、宇宙には太陽はふたつあるみたいです。
中途半端な緑の配置の都市だった。
その都市は夕日に沈みました。
混沌とした黙々人の群れに負けないつもりでいた。
東京に住んでいる。
今日も東京が夕日に沈む。
ただ広い都市公団で陳列たれた蛍光灯が光っていた。
「冷凍都市」 文・絵 M.takeuchi