学校の被害
(1)小学校
@城崎尋常高等小学校(城崎)
授業中であったが、児童を全員校庭に集合させ、校庭前の丘を越え、全員無事今津方面に避難させた。しかし、全校生中5名の焼死者を出したのは、下校中に地震に遭遇した者4名、病気欠席中の者1名である。校舎は倒壊を免れたが、全焼し、僅かに御真影と一部重要書類を持ち出しただけであった。
A楽々浦尋常小学校(城崎)
児童は全員来日山へ遠足中であったため全員無事であったが、居残りをしていた小使(校務員)一人は倒壊家屋の下敷きになったが、幸いに無事救助された。校舎は全部倒壊し備品の殆ど7割は破損した御真影は幸いに無事であった。
B港西尋常高等小学校(豊岡)
一般児童は第3校時後の休憩中であり、運動場に出ていて大多数は無事であった。しかし、数名は屋内にいて倒壊家屋の下敷きとなり6名の圧死者と3名の負傷者を出した。校舎は本館中央部、雨天体操場、玄関は倒壊し使用可能となった。
C豊岡尋席高等小学校(豊岡)
児竜6名は下校の途中に遭遇し、商工実修学校生1名は病気欠席中家庭にて圧死した。校舎は東西両雨天体操場は倒壊し、1教室は天井が落ち、付属建築物及び煉瓦高塀の一部が倒壊した。
以上4校は不幸にも児童に死傷者を出したが
他の学校に於いては幸いにも負傷者はいなかった
 
D港東尋常高等小学校(豊岡)
校舎は著しく傾斜し、階上は使用に堪えられない状態となった。
E田鶴野尋常高等小学校
校舎本館中央部が大きく傾斜した。通り柱の殆どは折れ、その他各所が大破した。
F新田第一尋常高等小学校
校舎の一部が破損及び大きく傾斜し、修理しなければ使用できない状態となった。
G新田第二尋常高等小学校
倒壊を免れたが、校舎全部が西に傾き、使用できない状態となった
H竹野等常高等小学校(竹野)
本館の一部、階上は破損し、1教室は天井が落下した。講堂その他の建築物は大きく破損した。以上の外、八条・府中・上山・三江・五荘第一・五荘第二の各小学校も傾斜破損した。
【北但震災誌より】
(2)中等学校
罹災地域に於ける中等学校は県立豊岡中学校、県立豊岡高等女学校及び公立出石実科高等女学校の3校であり、被害はそれぞれ大小に及ぶ。豊岡中学校は所々が大破し、被害額は約6000円に及んだ。
豊岡女学校も又、被害額が2500円に達した。出石実科高等女学校は、震源地から遠く離れていたため、被害は少なかった。

各中等学校生徒は授業中であったが、幸い1名の負傷者もなかった。一時混乱の状態にあったが、直ちに秩序を回復し、豊岡中学校、豊岡高等女学校生徒においては、進んで罹災者の救護に当たった。 当時、学校は罹災者の収容所に充てられていたため、授業は一時停止したが、各方面の整備が整うに従って再開された。
【北但震興誌より】
家族の引取りを待つ生徒らの様子
東京方面に旅行中、豊岡町全滅の報をきき帰校、引取の保護者を待つ
豊岡高等女学校生徒