わかめ

　わかめは、日本各地の海岸に自生している海藻で、古くから日本人が食べてきた食べ物です。今では、養殖もされていて、みそ汁の具やスープ、酢の物等で食べられています。塩わかめや乾燥かんそうわかめに加工することで、長く保存ほぞんができます。わかめの産地は、主に三陸さんりく地方と徳島とくしま県ですが、兵庫県もわかめの生産量の多い県の一つとなっています。

　淡路あわじ島しま付近の海は潮しおの流れが速く、栄養分えいようぶんが豊かで、歯ごたえがあり風味ふうみ豊ゆたかでおいしいわかめが育ちます。養殖ようしょく技術ぎじゅつの進歩にともない、現在げんざいでは市場に出回っている物のほとんどが養殖ようしょくわかめです。

　養殖ようしょくわかめは、海面近くにはったロープに付着して塩の流れにそって伸のびていきます。淡路あわじ島しま近海は水温が高く太陽の光をいっぱい浴びることができるため、わかめが早く育ちます。

　５月頃ごろに種をとり、夏に種苗しゅびょう作りをします。秋になると種苗しゅびょうは数mmの小さな芽となり、これが養殖ようしょく用の苗となります。冬の間、漁場で養殖ようしょくされたわかめは、春に収穫しゅうかくされ、湯通しをして塩わかめや乾燥かんそうわかめなどに加工されます。漁場の条件じょうけんや品質ひんしつへのこだわりから、漁師さんたちは品種を使い分けながら養殖ようしょくを行っています。

　生わかめの色は褐色かっしょくですが、湯を通すと鮮あざやかな緑色に変わります。これは、わかめの色素しきそが熱によって変化したことによるものです。鮮あざやかな緑色は、料理をおいしくする彩いろどりの一つであることに気付かせることができます。近年、瀬戸せと内の海水の温度が高くなり、わかめの種付けの時期が遅おくれるなど温暖化おんだんかの影響えいきょうがでています。わかめの種付けから環境問題を考えることができます。

　わかめには、カルシウムが多く含ふくまれています。独特どくとくのぬめりのもとになっているのは食物繊維せんいで、血管を丈夫じょうぶにし、血圧あつを下げてくれる働きもあります。ヨウ素そも豊富ほうふに含ふくまれ、体内の代謝しゃを活発にし、精せい神を安定させます。また、うま味成分であるアラニン、グリシンなどのアミノ酸さんが多く、これが酢すの物や汁しる物をおいしくしています。