しいたけ

　しいたけは、煮に物や鍋なべ物など、多くの料理に利用され、きのこの中でもよく知られていて人気の食材です。原木栽培さいばいの取組は、人が出入りすることで里山の保全ほぜんにもつながっています。木の養分とその土地の水と空気が良質りょうしつのしいたけを育てます。

　しいたけを日光でほした乾ほししいたけは、香かおりやうまみも凝縮ぎょうしゅくされていて、水で戻もどすだけで調理できるので大変便利です。また、生なましいたけは食感や風味を味わうのに適てきしています。

　兵庫県のしいたけ栽培さいばいは北摂ほくせつの山間地が中心で、昔ながらの原木栽培さいばいです。秋に葉を落としたコナラ、クヌギなどの広葉樹こうようじゅをほだ木（種たね菌きんをつける原木）に使い、1年以上熟成じゅくせいさせる方法でじっくり栽培さいばいします。歯ごたえがあって風味のよい、うまみのある味です。主に猪名川いながわ町、川西市の黒川、宝塚たからづか市の西谷、三田市などで作られていますが、丹波、播磨、但馬地方でも栽培さいばいされています。

　原木栽培さいばいは菌きん床しょう栽培さいばいにくらべて手間のかかる方法です。しいたけの一番の旬しゅんは春ですが、1年を通して収穫できます。冬の間にじっくり大きくなったものは、身も厚あつくしまっています。乾ほししいたけにするとうま味成分もふえ、1年中食べられます。

　手入れした里山の広葉樹こうようじゅがほだ木に使われることから、自然環境かんきょうとのかかわり、環境かんきょう教育の視点してんから取り上げることができます。

　また、原木栽培さいばいや菌きん床しょう栽培さいばいの２つの方法を調べることで、きのこについてより深く学習できます。さらに、原木を使ってかぶと虫を育てることもできます。

　しいたけは、低カロリーで栄養豊富ほうふな健康食材として人気があります。ビタミンＢ群ぐんやミネラル、食物せんいなどの栄養素えいようそとグアニル酸さんといううま味成分をふくみ、日光にあてるとビタミンＤがふえ栄養価えいようかが高くなります。日本でしいたけを食べるようになったのは、室町時代からです。カサがこんもりとしたものを「どんこ」、カサが開いてうすいものを「こうしん」といいます。食感のちがいを楽しめます。