酒かす(山田錦)

特徴

 酒かすは、日本酒をつくるときにできます。日本酒は、酵母こうぼこうじ・水・し米を発酵はっこうタンクに仕み、20~30日間かけて発酵はっこうさせて作ります。発酵はっこうが終わりじゅく成したもろみをしぼると、日本酒(液体)と酒かす(固体)に分かれます。酒かすには、しぼったままの平たい形を切りそろえたいたかす、ばらしてつぶじょうにしたバラかす、酒かすに水や焼酎しょうちゅうを打って(かけて)数ヶ月かせて熟成じゅくせいさせたりかすがあります。りかすは、ならづけや、わさびづけ、かすづけに利用されています。

 また、酒の原料として山田にしきというさかまいが使われます。兵庫県は、山田にしきの産地として有名で、生産量の約8わりを作っています。山田にしきは約70年前に、兵庫県の酒米試験地ではじめて作られ、日本全国の酒ぞう会社に広がりました。

 
地域との関係
 兵庫県は日本酒生産量第1位で、県下には多数の酒ぐらがあります。特に、なだは、日本一の酒どころで、なだごう今津いまづごう・西宮ごう・魚ざきごう御影みかげごう・西ごう)とばれる酒ぐらが点ざいしています。なだごうが発てんしたのは、①こう水「宮水」の発見、②「山田にしき」の産地が近い、③冬、冷たく乾燥かんそうした気候条件じょうけん、④丹波たんば杜氏とうじ存在そんざい、⑤水車せい米をするのにてきした河川かせん、⑥海に近く、運送面でゆう位の6つの要いんが考えられます。
 兵庫県の山田にしきの産地では、夏の昼夜の気温の差が大きいことや水分や養分の持力の強い粘土質ねんどしつ土壌どじょう、中山間の谷あいやぼん地といった生産にあった気候や地形などの条件がそろっています。そのために良しつな山田にしきを育てることができます。
 
生産者の工夫、ねがいや思い
 「よい酒をつくると、よい酒かすができる。かおりからいうと酒かすが一番いいところをもっていく。昔ながらのつくり方こそよい酒ができる。」とは、昔から酒づくりにたずさわってきた人の言葉です。日本酒のせい法も様々に変化し、従来じゅうらいの伝とう的方法よりもはるかにかんたんで、安く日本酒をつくる方法だと、よい酒かすができません。昔ながらのつくり方も大切にしていきたいです。
 
学びのひろがり

 日本酒や味噌みそ、しょうゆ、みりん、など、こうじを使った発酵はっこう食品について学ぶことで、日本の食文化についてきょう味を深めることができます。伝とう的な産業には、歴史的背景はいけいがあることを知り、郷土きょうどの歴史について関心をもつことにもつながります。

 
給食にも登場!

かすじる・・・かすじるを食べると体が温まります。

◆材料(4人分)

だいこん 1/8本
にんじん 1/3本
べにさけ 1切
油あげ 1/2まい
青ねぎ 1本
コンニャク 1/4まい
酒かす 50g
みそ 大さじ3弱
だしじる 2.5カップ

◆調理手順
①紅さけ、だいこん、にんじん、油あげ、こんにゃくは適当な大きさに切る。
②紅さけは熱湯をくぐらせ、こんにゃくは下ゆでをする。
③だしをとり、①、②をいれて煮る。火が通ったら、酒かす、みそで味を調え、小口切りの青ねぎを加えて仕上げる。

栄養士
 
給食一口メモ

 酒かすは、たんぱく質やビタミンB群を多くふくんでいます。また、たんぱく質の一種である「アルブミン」には、メラニン(色素しきそ)の生成せいせいをおさえるこう果があるため、シミができるのを防ぐこう果があります。

 かす汁は、地域ちいきによって酒かすのみで味つけする場合と、みそ等をいっしょに使う場合があります。寒い冬には、温かいかす汁が体を温めてくれます。