ヤマガラ 06.11.07





準備万端、冬支度



 南但馬自然学校には、とっても礼儀正しい“ヤマガラ”という野鳥がいます。私の顔を見るなり「こんにちは」ペコッとお辞儀をしてくれます。今度は正面から見てみましょう。ペコッ、やっぱりあいさつが上手です。
 実をいうと、ヤマガラはあいさつしているのではなく、小さな種を足の間に挟み、くちばしを器用に使って中身を食べているのです。種を食べているとわかっていても、ヤマガラがお辞儀をする姿につられて、こちらも思わず頭を下げてしまいます。

 こちらは、校長室の窓からよく見える場所にあるサルスベリの木にやってきたヤマガラです。一旦、近くのモミの木のてっぺんに留まり、首を少し傾けて様子をうかがい、安全を確認してから飛んできます。ヤマガラのお目当ては、サルスベリの実です。動きはとてもすばしっこく、宙返りで枝から枝に飛び移ったかと思うと、目にも留まらぬ早さで実を採ります

 ヤマガラの見事な軽業を見ているうちに、おかしなことに気が付きました。ヤマガラはサルスベリの実を採りますが、その場では全く食べずにせっせとどこかに運んでいるのです。3〜5分間隔で戻ってきては実をくわえて飛んでいきます。こうなるとどこへ実を運んでいくのか知りたくなってしまいます。そこで、ヤマガラが飛んでいく方向を目で追い、目星を付けた場所で待っていると、サルスベリの実をくわえたヤマガラが私の前を通過して、先にある木に留まり、幹にできた割れ目に実を隠し始めました。写真を撮る私と目が合い「隠し場所を見たな・・・」と、ヤマガラに叱られたように感じました。こちらのY字形になった木にも運んでいます。おやおや、ヤマガラの足下には運び込まれた大切な食料があふれ出していますよ。

 ヤマガラはもうすぐやってくる冬に備えて、エサがたくさんある秋のうちに、木の割れ目や地面などに食料を蓄える“貯食(ちょしょく)”という習性を持っています。ヤマガラの他に、カケスもドングリをせっせと運んでいますよ。野鳥たちの冬支度は万全のようです。
 
  あと一月もすれば南但馬自然学校は冬になります。そろそろストーブや冬用タイヤの準備をしなければなりません。今日は近畿地方に昨年より28日も早く“木枯らし1号”が吹きました。みなさんの冬支度は進んでいるでしょうか?

文責 増田 克也

  
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