ワカバグモ  06.08.01


お気軽自然観察のすすめ



 南但馬自然学校利用校の、プログラムに「自然観察」があります。「自然観察」といっても、それほど堅く考えずに、散歩気分でその辺りを見回すと、おもしろいものに出会えますよ。では、生活棟周辺で“お気軽自然観察”に出発!

 アジサイの上で休む、きれいな若草色をしたワカバグモに出会いました。この名前は、身体の色からつけられたのでしょうが、とっても素敵なネーミングですね。普段は青い葉っぱの上で、カモフラージュしているのをよく見かけますが、アジサイの花(正確には“がく”)では隠れたことにはなりませんね。このワカバグモは巣を張らず、獲物を見つけると一気にとびかかり捕らえる、俊敏なハンターです。
 
 グミの葉っぱに目を移すと、ここにもクモがいました。体長5oくらいの小さな小さなマミジロハエトリです。写真を撮ろうとレンズを向けると・・・もういません。やっとファインダーでとらえても、ピントを合わせている間に、ぴょ〜んと跳ねてどこかに消えてしまいます。まったくすばしっこいやつです。名前にあるように、空中を飛ぶハエや虫を捕らえるには、このすばしっこさが必要ですね。そんなことを考えながら顔をのぞき込むと、案外かわいい顔をしています。つながった白い眉毛と、大きなうるんだ眼が印象的です。このマミジロハエトリのおかげで、これまで持っていたクモのイメージが大きく変わりました。

 マミジロハエトリのまなこに見とれていると、しゅるしゅると葉を揺らせながら、体長20pほどのヘビがやってきました。シマヘビの子どもです。複雑な模様をしていますねえ。そのため、このシマヘビや、同じような模様を持つアオダイショウの子ヘビたちは、毒蛇のマムシと間違えられることがしばしばあります。シマヘビは大人になるときれいな縦縞模様になりますが、この子ヘビがストライプ柄になるには、あと何年かかるのでしょう。

 今度はユキヤナギの枝先でこんな虫を見つけました。緑色の身体が鮮やかなナナフシです。身体や手足がまるで枝のように見えるので、草木の茂った場所では、うっかりすると見過ごしてしまいます。でも、このユキヤナギの枝では少し目立ちますね。本人もそれをわかっているのか、大急ぎで茂みに身を隠しました。

 雨乃宮の池まで、足を延ばすといいものが見られました。拝み堂の腰板に目をやると、池からはい上がったヤゴがトンボに羽化している真っ最中です。ヤゴの背中が割れ、みずみずしいギンヤンマが姿を現しました。時おりピクピクとけいれんするように、少しずつ少しずつせり出してきます。すべて身体が出ると、クルッと素早い身のこなしで、向き直りました。あとは羽が伸びるのを待つばかりです。雨乃宮の池が育む生命の神秘を垣間見たように思いました。

 どうですか、生活棟周辺をぐるっと巡るだけで、こんなにいろんな生き物に出会うことができました。南但馬自然学校では“お気軽自然観察”がおすすめです。また今度、機会があればみなさんもご一緒にいかがですか。

文責 増田 克也

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