サツマノミダマシ  06.08.15


南但馬自然学校のクモ3種



 先日、クモ研究家の方のクモ調査に同行させてもらい、クモについていろいろなお話を伺っているうちに、少しずつクモに興味が湧いてきました。そこで、南但馬自然学校にはどんなクモがいるのが、探してみることにしました。
 
 朝早く、生活棟まつの館のサクラの木で見つけたのが、このクモです。鮮やかなグリーンの背中に黄色のV字がよく目立ちます。網の中心にいるところを撮影して、約15分後に戻ってみると、さっきまであったクモの網が跡形もなく消えていました。「場所を間違えたかな?」と思いながら辺りをよく探してみると、いましたいました、葉っぱの上で隠れるようにじっとしています。図鑑で調べてみると、名前は“サツマノミダマシ”とわかりました。名前にある、サツマノミとは、ハゼの実のことで、そのハゼの実にとてもよく似ていることから“サツマノミダマシ”となったようです。習性として、夜に網を張り、朝になると網をたたんで昼間は葉っぱの上などでおとなしくしているということです。私がサツマノミダマシと出会った時間帯は、ちょうど“店じまい”の時だったようですね。
 
 今度は植え込みの中に、たくさんのクモの網を見つけました。この形のクモの網はいつも見かけますが、今日は、家主がどんな顔をしているのかのぞいてみることにしました。そろりと近寄り、腰を落として、網と同じ高さまで目線を下げます。息を殺してしばらく待つと、そろそろっと、網の奥から用心深くクサグモが姿を現しました。このクサグモは私の中にあるクモのイメージにぴったりです。まるでスポーツカーのような低い重心のフォルムに思わず見とれてしまいました。

 散策道きつねコースでは、奇妙なクモに出会いました。遠くから見ていると、網のまん中にゴミがひっかかっているとしか思えません。近寄って見ると、ゴミではないことはわかりましたが、いったいどこが頭で、どこが腹なのやらさっぱり見当が付きません。首を傾げていると、突然、網にハエがひっかかりました。するとどうでしょう、そのゴミのようなものが、即時に反応してハエを捕らえ糸を出し始めたではありませんか。これでやっと、身体の各部分の見当が付きました。
 このクモは名前を“トゲグモ”といいますが、背中の模様を、じぃ〜っと見つめといるとネコの顔に見えてきますが、みなさんはいかがですか。以前、“人面魚”という人の顔に似たコイが話題になりましたが、さしずめこのトゲグモは“ニャン面グモ”というところでしょうか。

 南但馬自然学校のクモを3種類紹介しましましたが、いかがでしたか? 日本には約1400種類のクモがいるとされていますので、本校でも、探せばまだまだたくさん見つかるはずです。
 これまでは、クモのことを特に気にも留めませんでした。せいぜい、年末の大掃除にクモの巣とりが大変だったことや、山に行く度に、顔や身体にまとわりつき、気持ち悪い思いをしたことしか印象にありません。しかし、このように1匹ずつをよくみてみると、姿形や習性が個性的で、しかもクモは私たちのすぐそばで暮らしていることがわかります。これからは、美しいクモ、愉快なクモ、奇妙なクモ、いろいろなクモとの出会いを期待し、南但馬自然学校のフィールドをみていきたいと思います。

文責 増田 克也

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