円山川のラッパー
ここは南但馬自然学校を訪れた子どもたちが、川遊びなどでよく利用する円山川ですが、この頃、何やら川辺がにぎやかです。「ギョギョシーギョギョシーガシガシ」あちらからもこちらからも騒がしい声が響いています。それは、お世辞にも美しいとは言えない声で、中には「最近、やたらとカエルがにぎやかだなぁ」と思われている方もあることでしょう。
この声の正体を明かすと、それはカエルでも虫でもなく、春に日本にやってくる渡り鳥で“オオヨシキリ”という野鳥です。彼らは、自分の縄張りを周りにアピールするため、降っても、照っても「ギョギョシーギョギョシー」と大きな声を張りあげています。
野鳥のさえずりや虫の音を、人間の言葉に置き換えることを“聞きなし”といいます。昔の人がウグイスのさえずりを、「法華経(ほけきょう)」とお経に聞きなしたのはその代表的な例です。それではこのオオヨシキリはと言うと・・・「仰々しい(ぎょうぎょうしい)」と聞きなしされます。オオヨシキリの騒がしい声の聞きなしが「仰々しい」とはよく言ったものだと感心します。
私も自分なりの聞きなしを作ろうと、何度も彼らの声に耳を傾け言葉をひねり出そうとしますが、聞きなしは浮かばず、聞けば聞くほど、ラップミュージックに聞こえてきます。声に合わせて足と指を鳴らして軽くリズムをとると、オオヨシキリはちょっといけてる円山川のラッパーに早変わりです。
さあ、それでは、円山川のラッパーを聞いてください。みなさんもオオヨシキリの声で聞きなし作りに挑戦してみませんか。
文責 増田 克也
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