オオマシコ 07.01.23





冬空に映える紅色



♪あ〜かい鳥 小鳥 なぜなぜ赤い あ〜かい実を食べた♪


 北原白秋の童謡を思い出させるような、“オオマシコ”という赤い色の小鳥に出会いました。鉛色の空から落ちてくるみぞれを見上げる姿に、北国に生きる野鳥のたくましさを感じさせます。

 オオマシコはシベリアやサハリンで繁殖し、日本には越冬のためやってくる渡り鳥ですが、そのほとんどが本州中部以北で越冬するため、関西まで渡ってくることは珍しいことです。私が出会ったのは9羽の群れで、成鳥オスの証である、赤い羽をまとった個体が2羽。オスより赤色が薄く成鳥メスと思われる個体が3羽。その他に、雌雄の別ははっきりしませんが、ほとんど赤味がなく、去年の春に北国で生まれたであろう<若鳥が4羽、という構成でした。どの鳥もそれぞれに味わいがありますが、目を引くのは、やはり真紅の成鳥オスです。頭部と、胸から腹にかけては紅色。額と喉にある銀白色の白髭のような模様が貫禄を感じさせます。

 オオマシコの好物はハギの実です。他の実や種には目もくれず、群れは一斉にハギをついばみます。風が吹くと細いハギの枝は、上下左右に大きく揺れ、オオマシコたちは、枝に足の指を器用に絡ませ身体を支えます。しっかり握りしめた、身体とは不釣り合いなほど細い足が力強く見えます。
 いよいよ食べやすい場所に実がなくなると、エサ採りも一苦労です。枝先にわずかに残った実を求め、レスキュー隊がロープを伝って下りてくるように、枝元から枝先に移動して実を採るものや、伸ばせるだけ背伸びをして採るもの、逆に落ちそうなほど頭を下げて、アクロバティックに実をついばむものなど様々です。オオマシコたちは、ここに自生するハギの実がなくなると、やがて次の餌場に移動することでしょう。

 南但馬自然学校でのオオマシコの記録は8年前にさかのぼり、それ以降は一度もありません。今回、私が出会った群れは、本校の朝来山からすぐ近くの場所です。幸い、南但馬自然学校にはハギの実がまだ残っていますので、校内でばったりオオマシコに出会えるかもしれません。8年ぶりの記録更新に期待がふくらみます。

文責 増田 克也
  
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