ノビタキ 06.12.05





旅鳥通過 最終確認



 12月に入りめっきり寒くなりました。南但馬自然学校の野鳥たちも、北の国からやってきた冬鳥が目立つようになり、ツバメのように南に帰る渡り鳥はすっかりいなくなりました。
 ところが、まだ残っているものがいました。本校近くの田んぼを通りがかると、遠くセイタカアワダチソウのてっぺんで「ピクッ、ピクッ」と動く、スズメより少し小さい小鳥を見つけました。ヒタキの仲間特有の動きをしていたので、「冬鳥のジョウビタキかな?」と思い、双眼鏡で見てみるとジョウビタキではありません。「エッまさか、ノビタキ!?」目をパチクリさせてもう一度のぞいて見ても、やっぱりノビタキです。

 ノビタキは、春に南但馬自然学校を通過し、本州中部より北の地方で子育てをします。そして、秋には再び東南アジアなどの南の国へと旅立つ“旅鳥”と呼ばれる渡り鳥ですが、この時季は南の国で越冬しているはずです。
 今年、南但馬自然学校周辺で、南へ渡るノビタキを初確認したのは、まだ草の緑も鮮やかな9月23日でした。それから約3週間で、ほとんどのものが南へと通過していきました。初確認から約2ヶ月半、ツバメさえいなくなった12月にノビタキが残っているとは驚きです。

 周りでは冬に大きな群れになるカワラヒワがサクラの枝に集まっています。その群れが一斉に飛び立ち、ノビタキのところに降り立つと、セイタカアワダチソウの穂をついばみ始めました。その中の1羽がノビタキに気づいたようです。「あれ、変わったやつがいるぞ」ノビタキにその声が聞こえたのか、少しばつが悪そうな表情をしています。

 12月3日の朝はぐっと冷え込み、朝来山はうっすらと雪化粧をしました。山の白いものを見てノビタキもそろそろ旅立つことでしょう。その日がくるまで、この“のんびり屋”をそっと見守りたいと思います。

文責 増田 克也
 
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