ミゾゴイ 07.05.08





正体みたり!



 南但馬自然学校の朝来山で、過去に何度か得体の知れない鳥を目撃したことがありました。それは、普通の小鳥とはかなり様子が違っていました。大きさはチャボくらいで、身体は黒っぽく、見かけるのは決まって、斜面を駆け上がり木々の間を低く滑空し、逃げ去る後ろ姿ばかりです。下山してから記憶をたどり、「あの鳥はなんだろう?」と考えてみますが全く思い当たりませんでした。

 そんな、もやもやした気持ちを引きずりながら向かった先日の登山で、私の接近に驚き山の斜面を駆け上がるものが目に留まりました。「あっ、あの鳥だ!」次の瞬間、その鳥は何を思ったのか、ピタリと立ち止まりこちらをふり返りました。そこをすかさず何度かシャッターを切りましたが、どうにかピントが合っていたものは、上の写真だけでした。
 この写真を手がかりにして、図鑑を引っ張り出したり、野鳥に詳しい方に尋ねたりして調べた結果、この鳥は“ミゾゴイ”と判明しました。

 さあ、大変なことになりました。このミゾゴイの肩書きは「アジア版レッドデータブック、絶滅危惧種IB類」「環境省レッドデータブック、準絶滅危惧(NT)」「兵庫県レッドデータブック、Aランク」です。難しい文字がいくつも並んでいますが、つまりは、大変珍しく世界中で絶滅が心配されている野鳥であるという意味です。
 ミゾゴイの生息数は全世界で1000羽以下だと言われています。あの特別天然記念物のコウノトリでさえ2000〜2500羽ですから、ミゾゴイが置かれている状況がいかに深刻であるかがわかります。
 ミゾゴイは春に繁殖のため日本にやってくる渡り鳥です。サギの仲間では珍しく山地を住処としていますが、詳しい生態は未だわかっていないようです。いずれにせよ、この時季に何度か確認していることを考えると、南但馬自然学校の朝来山で繁殖している可能性が濃厚です。次回から、ミゾゴイの出没現場を中心に注意深く観察していこうと思います。

文責 増田 克也

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